現在、普通使われているろうそくは「洋ろうそく」。これに対して室町時代中国から伝わり、江戸時代に最盛期を迎えた日本で昔から作られているろうそくは「和ろうそく」と言われます。
洋ろうそくとは原料や作り方も違います。
明治時代に洋ろうそくが入ってくると、和ろうそくは廃れてきましたが、熟練の職人が作る和ろうそくは独特の風合いで、長く燃えると好まれています。
そんな明治10年(1877年)に創業の西宮市で製造販売をしている「松本商店」の歴史ある和ろうそくをご紹介します。
絵ろうそくがかわいい「松本商店」
甲子園球場にも近い西宮市の今津の「松本商店」。最寄り駅は阪神電車の「久寿川」駅です。住宅地にある小さいお店が松本商店です。
目を引くのは、季節の花の絵が描かれたかわいい絵ろうそく。たくさんの絵柄があってどれにしようか並びます。手描きのものと、お手頃価格のプリントのものがあります。
絵ろうそくはお花の代わりに仏壇にお供えするろうそくです。昔、東北地方で花のない冬に花の代用としてつくられはじめたそうです。
絵ろうそくは、最近は仏壇用ではなく贈り物やインテリア用として人気があります。海外の方へのお土産にも喜ばれる伝統工芸品のひとつです。
小さな3号絵ろうそくは2本セットで並んでいます。いろんな柄を詰め合わせる12本セットはお買い得。
伝統工芸品、和ろうそくの特徴
和ろうそくは、櫨(ハゼ)の実からつくられます。櫨の実からとれる木蝋でつくられる和ろうそくは、すすがでにくいというメリットがあります。また多少の風にも消えにくく火持ちがいいのが特徴です。
↑展示してある和ろうそくの材料
和ろうそくの揺らぐ様は、大きくゆらりと揺れて炎に表情があります。中が空洞になっているので、風が流れその流れで炎が大きく揺れるのです。
手間ではなく、らしさを粋に楽しむ
和ろうそくは「芯切り」という手間がかかるのも衰退の原因でした。和ろうそくの芯は燃え尽きず残って行くので、ハサミやピンセットで長くなった芯を切らければいけません。全国の和ろうそく店では伝統のために、あえてこの芯を残しこだわっています。
木蝋は、和ろうそく以外にもクレヨンや色鉛筆お相撲の鬢付け油、口紅や軟膏などいろんな場面で作られていますが、最近は木蝋が非常に少なくなっています。一大産地の九州地方で台風の影響を受けたことや、櫨の実の収穫をする人手不足が原因です。
和ろうそくは、一本一本手でつくる「生掛け」と型に流してつくる「型流し」がありますが、松本商店は「清浄生掛け」を守り続けています。
北野工房の町「和ろうそくkobe」
神戸市の中心部、北野にある「北野工房の町」に松本商店のお店も入っています。
北野工房の町は廃校になった旧北野小学校を活用した体験型観光スポット。
お土産やカフェの他、たくさんの体験メニューがあって賑わっています。
↑小学校にあった二宮金次郎像
こちらが「和ろうそくkobe」
↑ここでも絵ろうそくが人気
↑神戸らしい絵の和ろうそくもあります。
↑ポートタワー和ろうそく
↑イルミネーションキャンドル
お部屋を粋に、和ろうそくを楽しんでみては
和ろうそくをご紹介しましたがいかがでしたか?
職人が一つ一つ手作りする和ろうそく。大きくゆれる炎を見つめていると不思議と心が穏やかになります。仏壇にお供えをしなくても、和ろうそくをお部屋でつかってみてはいかがでしょう?また愛らしい絵ろうそくいいですね。贈り物としても喜ばれます。