【伝統工芸士の学校】京都伝統工芸大学校ってどんなところ?

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「職人や伝統工芸士に興味はあるけど、いきなり何もかも投げ打って弟子入りとかは無理…」という人はいませんか?伝統産業は魅力がありますが、道を究める難しさから人材不足が顕著になっており、次世代の育成もままならない状況です。

そんな中で職人の仕事に興味を持っている人にお勧めしたいのが「京都伝統工芸大学校」です。どのようなところなのか、紹介していきましょう。

京都伝統工芸大学校とは?


出典:写真AC

京都伝統工芸大学校は国の支援を受けて設立された、日本で数少ない伝統工芸を学べる専門学校です。通称は「TASK」です。日本全国から一流の職人を集め、職人自らが講師として直接生徒に指導しています。伝統工芸の技術は一般的に門外不出であるため、素人のうちから学校で学べることは工芸士を目指す人にとって大きなアドバンテージとなります。

こういった分野は職人に弟子入りして学ぶ方法が主流ですが、直接工房の門を叩いて志願するのはそれなりに勇気がいります。学生のように教室で講師に教わるスタイルの方が一般の人にも馴染みやすいでしょう。

伝統工芸を学べる大学は少ないながら他にもありますが、やりたい工芸がはっきりと決まっている場合はより規模の大きな京都伝統工芸大学校を選ぶのがおそらくベストです。

京都伝統工芸大学校の特徴①

豊富な専攻


出典:写真AC

京都伝統工芸大学校の特徴として挙げられるのが専攻の多さです。選ぶのに迷うほど多種類の工芸技術を一つの大学で扱っているところは、京都伝統工芸大学校をのぞいてほとんど見当たりません。

専攻は陶芸、木彫刻、仏像彫刻、木工芸、漆工芸、蒔絵(まきえ)、金属工芸、竹工芸、石彫刻、和紙工芸、京手描友禅の11種です。蒔絵は聞きなれないですが、金や銀の粉で漆器の表面に絵や文字を描く技術のことです。京都伝統工芸大学校では1年次に基本的なことを学び、2年、3年と徐々に高度な内容になっていきます。

たとえば陶芸を専攻したなら、1年次がろくろや絵付け、2年次は基礎の応用的な課題制作、3年次は樂焼(らくやき)のような特殊技法を学びます。

京都伝統工芸大学校の特徴②

充実した講師陣

京都伝統工芸大学校には質の高い講師が多数在籍しています。講師の多くは資格として狭き門である「伝統工芸士」や、京都府が伝統産業に貢献した職人として認めている「京の名工」など、信頼性の高い肩書を持つ職人達です。とりあえず勉強だけしてきたという講師とは違い、まさにその道の師匠とも言えるような方々です。

そもそも伝統工芸は非常に繊細で、経験に裏打ちされた技術を要しますから、熟練のプロでなければ手本も見せられません。伝統工芸の講師という時点で、ある程度の能力は保証されているとみていいでしょう。

京都伝統工芸大学校の特徴③

実習の充実度


出典:写真AC

伝統工芸の未経験者にとって第一に必要なことは実習です。一般的な芸術大学では知識を広く学ぶことが多いため、実用的な技術がなかなか身につきません。一方学生の目的が明確な京都伝統工芸大学校ではカリキュラムの約80%を実習に充てているので、卒業後に直結するようなスキルを取得しやすいというメリットがあります。

また他の大学で十分なスキルを身につけられなかった人でも、リカレント生として再入学すれば同じように実習を受けることができます。そして職人に必要なのは決して技術だけではありません。自分の作品がどうしたら売れるかも学習する重要なことの一つです。

京都伝統工芸大学校では入学生の約半数が大卒や社会経験のあるリカレント生なので、入学を検討する際に自分の年齢や経歴を気にする必要はありません。いかにも大学生らしい風貌の若者から定年退職者まで、工芸の道を志す人が集まる場は独特な雰囲気を感じます。

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