「裂き織り」という名前を聞いたことがありますか?
手芸好きさん以外には馴染みがないかもしれませんが、古着や雑布を活用した機織り技法のひとつなんです。ランダムな裂き具合で織られた布には、製作者も意図しない風合いや雰囲気が生まれます。
今回は、「裂き織り」の技法や活用方法を紹介します。
裂き織りとは
出典:写真AC
裂き織りとは、古くなった布を裂いて、麻糸などと共に織り上げるやり方であり、古くは江戸時代から行われてきたものになります。
そもそも昔は衣類は非常に高価なものであり、今のように普段着すら安く買うことができなかったので、再生衣料として使うのは当然の行為でした。また、最近では衣服のみならずバッグなどにもこの裂き織りの技法によって再生させたものを使ったり、縫いつけたりすることもあります。
裂き織で新しく生まれた布や衣類は、二つの異なる布を使ったものですから、色新しい雰囲気を纏ったものになります。そのため古い技法ではありますが、若い人から人気を集めています。
裂き織りといえば衣類に、というのが一般的なのですが、今では衣類に限らず様々な物品に活用されるようになっています。
裂き織りの裂き方
出典:写真AC
裂き織りといっても適当に裂くわけではありません。まずは、裂こうとしている布の縫い方の方向に合わせて裂くのが基本です。実際はその方向にハサミなどで切れ目を入れて、手で裂くというのが一般的です。
布は思ったほど綺麗に切れるものではないのですが、手で裂いた感じがあるほうが雰囲気がありますし、何かと面白い形で継ぎを当てることができるようにもなります。
まっすぐな市販の糸ではないので、裂いた布は太さが一定ではありません。ですから、横糸として織り込むことによって、趣のある織り地になります。
元々はリサイクル的な側面が強く、倹約志向ともいえたやり方なのですが、今ではちょっとしたお洒落を取り入れるために使われるようになっています。これぞまさに、古きを訪ねて新しきを知るというものですね。
裂き織りの織り方
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裂き織りにも色々と織り方があります。普通に織物としてやるときには、まずタテ糸を準備しておきます。古い木綿の布を細く裂いたら、裂いた木綿布をボールのように巻いていき、木綿のボールを解きながら機を織ることになります。
安い麻糸を経糸にして、緯糸に端切れの紐を用いて織っていくことによって、風合いのある作品が出来上がるようになります。