【香川県名物】「張り子の虎」に隠された意味とは?

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香川名物の「張り子」を知っていますか?

軽くて丈夫な工芸品として人気を集める張り子は、特に虎を模したものが有名で、端午の節句の飾り物にも使われます。しかし、なぜ虎なのでしょうか。張り子の虎の隠された意味に迫ります。

張り子とは


出典:写真AC

「張り子」とは木や竹を使って骨組みを作って、粘土や紙を貼り付けて作る人形のようなものを作る造形技法のことです。しっかりとした見た目の割に、中は空洞になっているのが特徴です。したがって重量が軽い作品が多く見受けられます。

張り子は日本特有の技法と思われていることも多いのですが、実際は2世紀に中国で始まったと言われていて、その後ヨーロッパやアジアに広まったとされる説が有力です。

張り子の文化が日本に入ってきたのは平安時代で、現在は日本全土に普及して郷土土産として人気を博しています。

張り子の虎の意味


出典:写真AC

張り子で有名なのが、「張り子の虎」です。文字通り、虎を模した張り子になっています。この張子の虎には、「意味」があるのをご存知でしょうか?

張り子の虎は「人の言うことにただ頷いているだけの人」、「能力がないのに虚勢を張る人」、「首を振る癖がある人」といった意味を指します。首がうなずくように縦に稼働する仕組みから、このような意味になりました。

見た目のかわいらしさとは裏腹に、あまり縁起の良い意味合いではないのです。

端午の節句に張り子のトラを飾る意味


出典:村山人形店

端午の節句に、張り子の虎を飾る風習があります。特に関西地方に多く見られる風習です。元々虎というのは神の使いとされている動物でした。

そのため、トラの骨を薬として使ったり、魔除けや厄除けとして重宝されたりしていたのです。そんな背景もあって、子供の健やかな成長を願い、張り子の虎が持ち出されるようになったのです。

このように見てみると、張り子の虎には、「人をバカにする意味」と「魔除けとしての意味」の幅広さがあって、面白いですね。

香川の伝統的工芸品


出典:週刊みとよ ほんまモンRadio!

張り子は海外から輸入された文化ですが、今ではすっかり日本の文化になりつつあります。代表的に名前があがるのは香川県です。

張り子の虎は、香川県の伝統的工芸品に指定されていて、全国から注目を集めています。現在は香川県の三豊市に張り子の虎の技法を引き継いだ3名の伝統工芸士がいて、張り子の虎を作成しています。

ちなみに、この伝統工芸士が作った張り子の虎だけが、香川県の伝統的工芸品に指定されています。そのため、香川県の張り子の虎を手に入れるのは、一種のステータスとされているのです。

大阪神農祭での張り子の虎について


出典:少彦名神社

大阪の道修町は、大手の製薬会社が本社を構えている場所で、「薬の町」として発展を遂げてきました。

そんな背景もあって、毎年開催されているのが、「神農祭」です。毎年全国から多くの観光客が足を運んでいるお祭りなのですが、そこで注目を浴びているのが張り子の虎です。

この祭りで導入されている張り子の虎は、緑の「五葉笹」がついていて、「黄色い虎」になっているのが特徴です。

この黄色い張り子の虎は「無病息災」を願って並べられています。一体、なぜそのような意味が込められているのか。これについては、文政5年(1822)にまで遡らなければなりません。

その当時大阪では「コレラ」という病気が代流行していて、「3日も経てば亡くなってしまう」とまで言われていました。その時に、道修町の薬種商が、トラの骨を削って、10種類の和漢薬と混ぜた薬を開発しました。それが、「虎頭殺鬼雄黄圓」という丸薬です。

その薬の開発と同時に張り子の虎も作って、患者に薬を投薬したところ、病状回復に効果があったと言われています。

その薬は明治初年に設定された「売薬規制」により販売中止されてしまったのですが、張り子の虎の魔除けの効果はその後も引き継がれて、神農祭で導入されるようになったのです。

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