【房州うちわ】”扇ぐ”という行為を突き詰めた造形「房州うちわ」の魅力 | 粋-iki-粋な日本文化を発信するメディア

出典:写真AC

房州うちわの歴史は、江戸時代頃のうちわ作成から始まります。

当時関東でうちわ生産が盛んに行われており、最初房州の地域では材料となる女竹を生産し出荷する役割を担っていました。

出荷場所だった房州でのうちわの作成事態は、現在での館山市那古で明治頃に行われ始めます。ここから全国に一気に広がるキッカケとなったのは大正12年の関東大震災。

その当時の東京のうちわ問屋が被災して大打撃を受けたことから、制作者が材料の出荷元にある房州に移り住んで本格化が進んだことにあります。

元々漁師町だったこの場所には、材料の女竹も豊富にあり、漁に出ない女性や老人の内職として上手にサイクルすることが出来て量産が可能になり、一時は年間に800万本近く生産される一大ブランドになります。

この段階で房州うちわの認知度は全国に広がり、「京都の京うちわ」「香川の丸亀うちわ」と並んで日本三大うちわとしての地位を築くようになります。

房州うちわの特徴

出典:館山市観光協会

房州うちわは千葉県南房総市の特産品で指定伝統的工芸品にもなっています。女竹といわれるよくしなり、割れにくく、軽いものを材料にしています。

一本の状態から作るので、うちわを握る場所が丸い形状になっており、他の三大うちわの様に平べったくはありません。

また骨に糸を結びつける弓を柄に差し込んで出来る左右対称の美しい窓があることが、房州うちわの何よりも大きな特徴になっています。

また丸い柄でしなりの強い竹を利用していることから抑止なることも特徴としてあげられています。

房州うちわの作り方

出典:写真AC

房州うちわは20を超える工程から出来ています。寒い時期の引き締まった竹の選定から始まり、青い皮を落としてから、もみ殻で丁寧に磨き艶が出るようにします。

そして目印になる切れ込みを8か所入れてから丸一日水につけ、裂けやすい状態にしてから骨を作っていきます。

切れ込みから8つ上下左右とそれぞれ斜めに割き均等に8等分します。更にそれを6等分から8等分することで48~64本の骨が出来ます。

骨の角を落としたら、中ほどの節目近くに貫通する穴をあけて編棒を込み、紐で骨を交互に結わえて扇状に広げます。

手で持つ部分の長さを調整した後は、柄の後ろから柳の枝を差し込んで強度を上げ、空洞が見えないようにもします。この段階で房州うちわの特徴にもなる弓を差し入れて紐で引き締めて形を整えます。

大まかにうちわの形に骨を切って整えて、少し火で焙り骨がまっすぐになるようにします。骨の表面にノリを縫って紙や布を張り、骨の間隔がキレイに並ぶように空気を入れないように張り合わせます。

貼った形に合わせてもう一度骨をきれいに調整してヘリに和紙を貼り、見栄えを美しくします。柄のお尻の部分を漆で化粧して仕上がりを美しくします。

最後にプレス機の工程を経てしっかり骨が浮かぶようにして房州うちわが完成します。

この記事が気に入ったら

いいね!を押して最新情報を受け取ろう

Copied title and URL