兼業農家のメリット・デメリット
農業を職業にするのは、さまざまな苦労や大変な面があります。では、専業農家ではなく、兼業農家というスタイルを取ることには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット
出典:ウィキメディア・コモンズ
兼業農家のメリットは、まず第一に収入源が二本立てであることが挙げられます。もし、農業で自然災害によって収入が大幅に減ってしまった場合。会社に勤めていれば、安定した収入が得られます。その点に関しては、専業農家の方がリスクが高いといえるでしょう。
また、収入面でのメリットは、会社勤めの収入に農業収入が加算されるため、生活に余裕が出ること。そして、給与所得と合算することで節税できることです。
農業は天候によって利益が大きく変動しやすいので、異常気象や台風などの不可抗力によって、赤字が出てしまうことがあるでしょう。そんなとき、兼業農家であれば損益通算によって節税することが可能です。
例えば、本業として勤めている会社からの給与収入が500万に対して、兼業で行っている農業では自然災害により収益が得られず、結果的に経費ばかりがかさみ100万円の赤字を生んでしまったとします。
このとき、本業の所得に農業の赤字を合算し、500万円から100万円を差し引いた400万円を課税対象所得にできるのです。つまりは、本業の利益を農業の赤字で相殺し、総所得を少なくすることで、結果的に節税することが可能になります。
また、リフレッシュとしての一面もメリットであるといえるでしょう。農業は、会社のオフィスでの労働とは全く異なります。大自然のなかで実際に体を使い、農作物や土に触れる体験は、平日働いている環境と比べると非常に貴重で新鮮なものです。 また、うまく行けば自給自足での生活が可能になり、自分のこだわりの野菜を作ったり、知人に分け合ったりする楽しみも味わえるでしょう。
デメリット
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一方でデメリットとしては、農機具や農地の整備などの初期投資に、まとまった資金が必要になることが挙げられるでしょう。農機具は高額なものが多く、トラクターも200〜400万ほど。ゼロからそろえるとかなりの金額になりますし、またそろえたら後に引けない状況になるはずです。
普通の事業を始めるときにかかる費用としては、店舗や工場を建てる土地・建物の不動産・従業員の人件費などが大部分を占めます。しかし、農業の場合には、軌道に乗るまでは人を雇う必要はほぼないですし、農地の確保にもさほど費用はかかりません。
もうひとつのデメリットは、作物の管理で長期的な休暇は取りづらくなることが挙げられます。もし休みを取るなら、家族間で仕事をうまく分担したり作業のピッチを上げたりして、作業を前倒しするなどの工夫が求められるでしょう。ただし、作物の栽培期間によっても異なります。稲作であれば、冬はオフシーズンになるため、長期休暇も可能かもしれませんね。
農業を副業に!
今回は、兼業農家の収入やメリット・デメリット、なるために必要なことについてみてきました。
「家庭菜園をしているうちに本格的な農業に興味を持った」という人もいるかもしれません。今や農業において兼業農家の割合が増えてきているため、農協などの制度も兼業農家に合わせたものが増え、制度や政策面でも有利になってきています。
もし、「本格的に農業を副業として始めたい!」と思っているのであれば、一度就農体験・就農講座を受けてみるのがいいでしょう。農業は伝統的な産業であるからこそ、新しいビジネスの発展やイノベーションの可能性を秘めているかもしれませんよ。