有田焼といえば、薄手の陶器に鮮やかな色の絵付けが施され、その繊細優美な陶器は、海外でも高く評価されています。そのなかのひとつ深川製磁の作品は、ミラノにもスタジオがあることからも分かるように、日本のみならず、海外でも非常に高く評価されています。モダンと伝統美が織りなす深川製磁の世界をご紹介します。
伝統工芸品・有田焼の歴史
九州の佐賀県西松浦郡の有田町といえば、“有田焼”で有名なところです。その歴史は、江戸時代までさかのぼります。朝鮮人の陶工、初代金ヶ江三兵衛らが有田焼に使われている陶石を発見して、陶器を作ったのが始まりだと言われています。
絵付けの発展と共に、海外で人気に
当初は分厚く、色もあまり使われていなかったのですが、歴史の変遷とともに絵付けの技術が発展し、その後、絵付けの技術や美しいデザインが海外でも認められ、1650年以降、中国やヨーロッパにも輸出されるようになります。ヨーロッパの王侯や貴族の間では、有田焼の陶器を持つことが、ひとつのステータスになっていたそうです。
1867年万国博覧会、1900年パリ万博で入賞
有田焼は一時衰退するものの、有田の豪商・久富与次兵衛が独占販売することにより再興し、やがてその販売が自由に行われるようになりました。そして、1867年からは次々に万国博覧会で出品し、ジャポニズムの人気ともあいまって、数々の賞を受賞しました。そのなかのひとつが、1900年にパリ万博で金牌を受賞した深川製磁の大花瓶だったのです。深みのある赤や鮮やかなブルー、金色で描かれた、高さ2mもある大きな花瓶は、現代でも色褪せることのない優美で美しいたたずまいを見せてくれます。
出典:深川製磁株式会社
その後、有田焼は国内、海外で愛される陶器になって、日本国内はもとより、海外でもコレクターたちに高く評価されるようになりました。
深川製磁とは
深川製磁は、有田焼を代表するブランドのひとつで、香蘭社などとともに国内外で大変な人気を集めています。創業は明治27年。「ブルーワイナリー」や「ブルーチャイナ」に代表されるフカガワブルーと呼ばれる色と鮮やかな赤絵は、深川製磁の象徴的なカラーです。
すべての作品は、初代深川忠次の工藝思想という哲学をもとに作られ、技術と意匠が表裏一体でなければならないというポリシーは、現代でも変わらず受け継がれています。
モダンと伝統の融合
深川製磁には、明治時代から作られている「富士山」をフカガワブルーで丹念に描いた作品や菊の花をかたどった絵皿など、日本の伝統的な柄や形を取り入れたものがあります。その一方で、ARTE-WANなどのように、スタイリッシュなデザインと伝統的なカラーが融合した製品があります。
日本のかたち=使いやすさ
ARTE-WANは、深川製磁が創業時より追求してきた「日本のかたち」にもこだわっていて、それは「使いやすさ」というテーマにもつながっているのです。スプーンやフォーク、ナイフを使って食事をする西洋文明の世界ではあり得ない日本ならではの発想、器を手に持って食べることも想定していて、料理に合わせてフレキシブルに使えるようにデザインされています。
ご飯を入れる茶碗にも似たARETE-WANは、日本を代表する絵柄、富士山がモダンに描かれていたり、松や梅、うさぎなどのモチーフも使われていたりします。まさにモダンと伝統が一体化した器「ARTE-WAN」。飾っておくだけではもったいない、使うことによって価値が生まれる美しい陶器です。
伝統工芸品・有田焼のある日常
西洋、東洋の文明を超えてコレクターたちの心をときめかせる深川製磁の器。お正月やお誕生日など、大切な日のために用意しておきたいお皿から、日常の食卓で使える茶碗や湯呑み、急須やカレー皿まで、さまざまなラインナップが用意されています。美術品として眺めて楽しむほか、毎日使うものだからこそこだわって揃えてみるのもおすすめです。