座禅にはどんなイメージをお持ちですか?
「厳しそう」「修行みたい」など、少し怖いイメージを持っている人も多いかもしれません。
しかし実際に座禅は、僧侶ではなくても気軽に体験することがきます。また、Apple社でiPhoneなどを開発したスティーブ・ジョブズも座禅を生活の一部に組み入れていたそうです。
今回は座禅とは何か、なぜするのかを紹介した後に、実際に関東近郊で座禅の体験ができるお寺を紹介します。
座禅とは何か?
座禅は、もともと仏教で行われる精神統一の方法です。大乗仏教の禅宗では、この座禅を基本的な修行方法としています。 日本では、平安時代には座禅が行われていたと言われています。当時は真言宗と天台宗という、いわば密教の時代なのですが、その中で密教座禅が行われてきました。
この密教座禅にも影響を受けた道元が、座禅を根幹に置き、只管打坐としてただひたすら座禅を行うことを唱えた、曹洞宗を開いたのです。
そういったこともあり、座禅と言えば曹洞宗をイメージする方も多いかもしれません。しかし、現代においては宗教や宗派に関係なく、精神鍛錬の体験のひとつとして、一般向けの座禅体験を行っているところも多いです。
座禅の正しい作法を確認しよう!
座禅には、入堂から終了するまでの作法が細かく決まっています。
入堂の際には、左手の親指を内側に握り、右手で左手をおおい、手の甲を外に向けた状態で胸の前に持ってくる「叉手(しゃしゅ)」の姿勢を取ります。座禅の際に歩くときは、基本的にこの「叉手」の姿勢になります。
そして、入り口の柱側の足から入堂します。入口の左側に柱がある場合は左足から、右側にある際は右側から入堂してください。 座禅を行う位置についたら、「隣位問訊(りんいもんじん)」と「対座問訊(たいざもんじん)」を行います。
隣位問訊は、自分の座る位置に対して、合掌低頭をします。その後、対座問訊では、隣位問訊から右回りし、向いに座る人に合掌低頭をします。
座禅を組む際には、両足を組む結跏趺坐、片足を組む半跏趺坐のいずれかで座ります。結跏趺坐は体に負担がかかりやすため、初心者の方は半跏趺坐がおすすめです。
出典:禅と脳科学
また、上体は背筋を伸ばし、姿勢が崩れないように気をつけます。手は、右手の手のひらに左手を重ね左右の親指が合うようにします。この時、親指同士は紙1枚分の隙間が空くようにします。口は閉じ、舌は上あごにつけた状態で鼻で呼吸をします。
呼吸の際には、「吸って吐く」ではなく、「吐いて吸う」のサイクルで捉えるのが座禅の作法とされています。視線は畳半畳分前に落とし、瞼は閉じません。これが、座禅の基本姿勢になります。
また、座禅に入る前、座禅後には左右揺振を行います。座禅に入る前は、身体を振り子のように左右に振り、徐々に振りを小さくし、振りを止めた上で座禅に入ります。
座禅後にも作法がある?
出典:写真AC
座禅後は、座禅に入る前とは反対に、身体を左右に、徐々に大きく振るようにし、身体を落ち着かせます。 また、座禅後には経行(きんひん)を行います。
経行は叉手の状態で左右の足を交互に半歩ずつ進めていくものです。経行は一呼吸の間に一歩ずつ進めていくことになります。
座禅の作法については、一般向けに分かりやすく教えてくれます。
特に、お寺によっては「座禅会」が開かれていて、一般向けに定期的に座禅の体験を行っているところもあります。そのようなタイミングに合わせると、初めてでも座禅に加わりやすいでしょう。
なぜ座禅をするのか?
座禅を組んでいる間は、無心にならなければなりません。何か頭の中に思い浮かんでも、その思考を断ち切らなければなりません。これの繰り返しによって、「何も考えない」「無に集中する」という感覚を覚えることができます。
私たちは日々の生活の中で、無意識に多くの情報にかかわり、処理しながら生活を送っています。
その中で、同時に問題を抱えながら、心身のバランスを崩してしまうこともあるかもしれません。しかし、座禅はそのような日常との関わり方を考えさせてくれるのです。
まず、座禅を組んだ直後に心と脳のスッキリ感を味わうことができます。私たちは日々頭や心をすり減らして生活しています。座禅を行い、考えること、悩むことから距離を置くことで、座禅後に爽快感を得ることができるのです。
この感覚に慣れてくると、日常でもイライラすること、もやもやすることがあると「座禅を組みたい」という思いを抱くようになります。そして、自宅でも座禅を組み、心を落ち着かせる習慣ができると、以前より心の不安や悩みと上手に向き合えるようになります。
人間力を鍛える座禅
出典:写真AC
また、座禅の魅力として、人間力を鍛える効果があります。不安や悩みと上手に向き合えるようになることで、苦手なことや不安なことにも積極的に取り組めるようになり、人間的な成長が見込めるようになります。過去を振り返れば、世界的な有名人でも座禅や瞑想を通じ、心を鍛えてきた人がたくさんいます。
中でも、iPhoneやMacBook、iPodなどのヒット商品を開発したApple社の共同設立者で実業家のスティーブ・ジョブズは有名です。
彼は、座禅を日課としており、その効果を実感していた一人です。また、有名哲学家のエーリッヒ・フロムも著書の『愛するということ』において、今と向き合うことが愛することに必要であると説いた上で、その方法として瞑想・座禅を挙げています。
これらのことからも、座禅には心を整え、人間として成長させてくれる効果があり、そこに魅力があると言えるでしょう。
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