京扇子について
京扇子とは、京都もしくは京都近郊で作られた扇子のことを指します。これらはひとつひとつ職人が手がけており、伝統工芸品としても確かな地位を確立しています。こう聞くと少し敷居が高く感じられるかもしれませんが、実は値段もお手頃なものが多く気軽に持つことができます。
扇子の種類には、夏扇子・舞扇子・飾り扇子などがあり、日用的なものは夏扇子にあたります。夏扇子には様々な種類や柄があり、選ぶのも楽しく、京都観光のお土産やプレゼントとしても人気があります。また、扇子はその形状から「末広がり」を連想させるため縁起物としても重宝され、お祝い事などの贈り物としても大変喜ばれるものです。
こちらでは、そんな素敵な京扇子を販売している老舗を紹介していきたいと思います。
京扇子の老舗6選
多彩なキャラクターが魅力の「白竹堂」
出典:白竹堂
京都の買い物スポットである新京極商店街に入ってまっすぐ進むと見えてくるオシャレなお店です。こちらのお店は気軽な雰囲気の店構えで、若者でもつい手に取ってしまうような可愛らしい扇子がたくさんあります。
出典:白竹堂
出典:白竹堂
本店は新京極の賑わいから少し離れた麩屋町通りにあるのですが、こちらは色々な分野とのコラボ商品なども置いてあり見ていて楽しい品揃えです。
この白竹堂は享保3年(1718年)に創業し、明治・大正期の文人画家である富岡鉄斎より「白竹堂」という屋号を贈られた京扇子店の中でも大変歴史のある老舗です。
種類が豊富な「伊藤常」
出典:伊藤堂
1000種類以上の商品を扱っているお店であり、その種類の豊富さに比例した伝統からモダンまでの幅の広さが魅力です。こちらは明治44年に扇面の折り職人として創業されました。
五条大橋の側に本店を構えており、観光客にも人気です。長屋造りの落ち着いた店構えからは格式高さが伺えます。嵐山にも店舗があり、こちらでは絵付け体験ができます。観光の際の思い出とともに、世界で1つのオリジナル扇子を持ち帰ることができる場所です。
こだわりの老舗「大西常商店」
出典:京扇子 大西常商店
昭和初期に創業して以来、和の伝統にこだわり続けてきたお店です。店舗は四条烏丸にある直営店のみで、黒を基調とした京町家の外観がなんともオシャレです。
建物内も京町家をそのまま利用しており、扱う商品同様のこだわりが見て取れます。なんと当時の台所である「おくどさん」も残っています。
出典:京扇子 大西常商店
売り場には美しい京扇子が並べられ、まるで美術館のような趣があり目を楽しませてくれます。
また、扇子販売だけでなく様々な文化体験も催されています。中でも所有のお茶室でのお茶席体験は英語にも対応されており、外国の方でも安心してお茶席を楽しむことができます。こちらを訪れるだけで京都を満喫できるので観光の際は押さえておきたいスポットです。
時代に寄り添う「舞扇堂」
出典:京扇子 大西常商店
モダンな店構えで若者も気軽に立ち寄れるお店です。常に消費者のニーズに応えることを意識しており、京扇子をより身近に感じることができる点が魅力です。
祇園・清水・錦の3店舗を構えており、それぞれ京都の中でも外せない観光スポットとなっているので、京都観光のお土産を選ぶ際にはオススメの扇子屋さんです。
創業は昭和43年と老舗の中では若い企業となっていますが、それゆえの新しさや親しみやすさが魅力です。扇子の名入れを始めたのもこの舞扇堂です。
普段使いしやすい絹扇子の「とくの」
出典:株式会社 とくの
元々は絹扇子の製造で明治40年に創業されました。そのため、絹きりえ扇子や絹ポシェット扇子等、涼しげな絹扇子の商品が豊富です。中でも「はんかち扇」という京友禅柄のハンカチ生地を用いた扇子は、椿の絵が大胆にあしらわれており目を引くデザインになっています。他にも手書きの飾り扇子などもあるので絵付け職人の技巧に触れることができます。
また、本社と東映太秦映画村で扇子の手書き体験も実施されており、観光客や修学旅行生等に人気を博しています。
確かな品質「山武扇舗」
こちらは店主が日本舞踊に精通されていることもあり、舞扇子がメインのお店です。中京区の六角通に面した店舗は老舗の風格があります。
出典:京都扇子団扇商工協同組合
出典:京都扇子団扇商工協同組合
普段使いができる夏扇子なども置いてありますが、やはり特に力を入れているという舞扇子が豊富にあります。これから舞踊を始めたいという方は、一度店へ訪れて店主にお話を聞きながら選ぶと素敵な一本が見つかること必至です。舞踊をしないという方も、中には飾り用にもなる舞扇子があるので家に飾ってワンランク上の演出を試みるのもいいかもしれません。舞扇子といってもお求めやすい価格のものも多いので、一味違った贈り物としても手を出しやすいのではないでしょうか。
まとめ
300年以上前に創業されたお店もあり、京扇子業の歴史の深さが伺えます。近年では外国産の安価な扇子が出回っており、このような国内の扇子の良さを知る機会が少なくなっています。しかし実際に手にとってみると、職人の丁寧な仕事や長く守られてきたその歴史に魅了されることでしょう。
年々過ごしにくくなる日本の夏。扇子ひとつ持ち歩くだけで夏の快適さが桁違いです。コンパクトに持ち運べるだけでなく、色合いや柄・デザインにも「涼」を感じ取ることができます。職人が意匠を凝らしたとっておきの逸品を見つけに行ってみてはいかがでしょうか。