なぜ温泉に効能があるのか
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日本には多くの温泉地があり、それぞれの泉質によって効能が異なります。では、なぜ温泉には効能があるのでしょうか?
どの温泉に入っても共通する効果を「一般適応症」、泉質によって異なる効果を「泉質別適応症」と呼びます。この一般適応症では、リラックス効果をはじめ疲労回復やストレス解消効果もあります。
また、温泉には次に紹介する物理的な効能と温泉成分が皮膚を通して体内に吸収される化学的効能、そして自然に囲まれた温泉地に行くことでの心理的効能などの相乗効果によって温泉の効能を感じるのです。
温泉の効能はすべての人に効果があるわけではありませんが、温泉に共通する基本的な効果を紹介します。
温泉の基本効果
温熱効果
出典:ウィキメディア・コモンズ
温熱効果とは温泉で身体を温めることによって得られる効果です。温泉に入ることで血行が促進され、新陳代謝が高まります。それによって、体内の老廃物が排除されて疲れやケガの痛み肩こりに効果が現れます。
また、温泉の温度によって効果が異なり入浴に最適な温度は42°と言われています。40°以下のぬるま湯の場合はリラックス効果の高い温度で、45°以上の高温湯の場合は体質改善や機能改善効果の高い温度です。
目的に合わせて温度の違う温泉を楽しむと良いでしょう。
水圧効果
出典:ウィキメディア・コモンズ
温泉に入ると水圧によって全身に圧力がかかります。これによって、体の表面だけでなく血管や内臓が刺激されて血液やリンパの流れが良くなります。
便秘や浮腫み(むくみ)に悩んでいる方は、温泉やお風呂の入浴がおすすめです。
浮力効果
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温泉に入ると、水中では空気中の重さと比べて約10分の1の重さになります。これによって、体重を支えている筋肉や関節を休めて重力から解放されます。筋肉が緩んで心も身体もリラックスできますね。
転地効果
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転地効果は普段の生活とは違う環境に身を置くことでリラックス効果や健康への効果が期待できます。それに加えて、温泉の効能との相乗効果も期待できます。海や山にある温泉地に行き、五感すべて使って自然を感じることでリラックスできるのです。
温泉の種類と効能その1「単純温泉」
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単純温泉は、日本にある温泉の中で最も多い泉質です。単純温泉は含まれている成分は薄いため、刺激が少なく肌に優しいという特徴があります。子供から大人まで安心して入ることのできる温泉です。
単純温泉の効能はそれだけではありません。不眠症やうつ病、自律神経不安定症などにも効能があります。アルカリ性単純温泉になると、お肌が綺麗になる女性に嬉しい効能もあります。
温泉の種類と効能その2「二酸化炭素泉」
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二酸化炭素泉とは、炭酸ガスを含んでおり、まるで炭酸飲料のような温泉です。二酸化炭素泉の温泉に浸かると、全身に炭酸の気泡が付着します。これによって、皮膚から炭酸ガスが吸収されて血液の循環を促すのです。そのため、低い温度でも温まりやすいという特徴があります。
基本的には、炭酸が気化して抜けないように低い温度のところが多いです。心臓への負担が少なく、冷え性や自律神経不安定症から切り傷、末梢循環障害まで効能があります。
温泉の種類と効能その3「塩化物泉」
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塩化物泉はその名の通り、塩分を多く含む泉質の温泉のことです。単純温泉の次に多い泉質で、塩分によって汗の蒸発を防ぐことから湯冷めしにくいという特徴があります。
また、塩化物泉は肌の乾燥を防ぎ、潤いを保ってくれる効能もあります。まるで天然の化粧水ですね。塩化物泉の効能は他にも、切り傷やうつ病、末梢循環障害への効能があります。
温泉の種類と効能その4「炭酸水素塩泉」
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炭酸水素塩泉の効能には女性に嬉しい美肌効果があります。アルカリ性の炭酸水素を多く含んでいるため、化学反応で肌の角質や毛穴汚れを乳化し洗い流す効果があるのです。
ただし、入浴後には肌が乾燥してしまうおそれがあるので保湿ケアをしっかり行ってください。
他にも、切り傷や末梢循環障害、冷え性などにも効能があります。
温泉の種類と効能その5「硫酸塩泉」
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硫酸塩泉には、保湿・保温効能があります。その名の通り、硫酸が多く含まれているため高血圧症や動脈硬化を緩和してくれる効能があり脳卒中のリスクを下げてくれます。つまり、長寿の温泉なのです。
他にも、硫酸以外の成分を含む芒硝泉・石膏泉・正苦味泉などがあり、外傷・湿疹・糖尿病・高血圧症への効能が期待できます。