金属を叩いて成形する「鍛金」という技術をご存知でしょうか?今回は鍛金の歴史から技法まで様々な角度からご紹介していきます。
鍛金とは
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鍛金(たんきん)とは、金属の展延性と呼ばれる特徴を活かした技術で、金属を叩いて加工する方法のことです。鍛金では、板状にする鍛造、立体的な作品を作る鎚起技法・板金技法などがあります。
鍛造では、平らな鉄床の上に金属を置いて専用の金槌を使って成形します。この技法では、お皿など平らな作品を作ることができます。
鎚起技法は、専用の槌(つち)を使って金属を打って伸ばしたり絞り縮めを行って成形します。この技法では、花瓶や鍋など立体的な作品を作ることができます。
板金技法は、金属を折り曲げたりして成形します。この技法でも、鎚起技法と同様に立体的な作品を作ることができます。
鍛金はどのようにして始まったのか?
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鍛金の歴史は古く、なんと金属が発見された当初から鍛金の技法が使われていました。
当時は今のように化学の発達はなかったため、金や銀、銅などの自然界にある金属を用いて加工していました。主に、鍛金技術を使って剣や矛・盾などの武器や祭事などに使う装飾品が作られていたようです。
では、日本にいつ鍛金の技術が伝わったのでしょうか?それは、弥生時代にまでさかのぼります。金属に関する技術や文化が伝わり、剣や甲冑などが製造されました。後には、仏教が広がり、仏教美術品や大仏の制作に鍛金技術が用いられるようになりました。
また、今では「鍛金」と呼ばれていますが、これは比較的最近の言葉です。明治時代に「鍛金」という言葉が生まれたのですが、それ以前は既述で紹介した「鎚起」や「鎚金」という言葉で親しまれていました。
鍛金に使う道具をチェック
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鍛金で使う道具は主に、2つあります。1つは金槌(かなづち)、2つめは当て金と呼ばれる道具です。以下では、実際にそれぞれについて詳しくみていきましょう。
金槌(かなづち)
鍛金家の方や職人さんになると、100本以上の金槌を所有しています。その金槌の種類は様々で、表面が滑らかなものから荒いものまであります。
主な金槌の種類として、しめ槌・均し槌(ならしづち)・荒し槌の3つがあります。
しめ槌は使用頻度が高く、絞りのための金槌とされています。均し槌は、叩く面が大きくかつ鏡面になっているため、叩く金属が鏡面状態になります。荒し槌は、叩く面に凹凸(おうとつ)の模様がついているため、これで叩くと金属に模様をつけることができます。
鍛金で使う金槌は、金属を叩くため釘を打つ金槌よりも表面が綺麗に保たれます。
当て金(あてがね)
当て金と呼ばれる道具は、金槌で金属を打つ時に金属を当て金に乗せて反対側の形状を作るものです。当て金も様々な種類・形があり、丸みを帯びたものや平らなもの、カーブ状のものもあります。
ほとんどの職人さんは、この当て金を自分で作成します。なぜなら、なかなか売っていないこと、そして自分の思うような形の当て金は自分で作ったほうが良いからです。
また、当て金は炭素を含んでいるため普通の鉄よりも硬くなっています。そして、金槌同様に職人さんや鍛金家の方は100本以上所有しています。
どのようにして金属を発色させるのか
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鍛金作品の中には、鮮やかな色合いを表現しているものもあります。そこで、どのようにして金属は発色するのかを見ていきましょう。
金属は、金属光沢という特徴を持っています。これによって金属は光を反射し、その反射率は金属によって異なります。
例えば、金は赤・橙・黄など暖色系の光を強く反射しますが、青や緑など寒色系の色の反射は弱いという特徴があります。これによって、私たちの視覚では金の色を捉えているのです。
また、銅が青緑色になっていることがあります。これは「緑青(ろくしょう)」と呼ばれるもので、錆びの一種です。では、なぜこのような錆びができるのでしょうか?
まず、緑青が発生するには多くの年月が必要になります。銅が酸化した後、大気中の様々な成分と反応して20年ほどかけて生成されるのです。
また、金属工芸では人工的に科学反応を起こして発色させます。伝統的な方法によって、安定した人工的な錆びを作るのです。これを発生させることによって内部にまで錆びがいかぬよう防錆・防腐効果があります。