ピアノ調律師になるには|収入・メリット・デメリット・向いている人

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生音を響かせるピアノですが、これらの音は全て、ピアノのメンテナンスを行う職人「ピアノ調律師」によって調律や修理されています。

今回はそのピアノ調律師について、気になる収入やなり方・資格などご紹介します。

ピアノ調律師について、イメージが付いている方には

下記のインタビュー記事をオススメします。

100点のない仕事|ピアノ調律師/渡辺順一

ピアノ調律師とは


出典:写真AC

ピアノ調律師とは、ピアノの音を調律・修理する職業です。ギターやベースなどは自分の手でチューニング(調律)できるように作られており、チューナーという音を合わせるツールも存在するので、誰でも容易に音を調整することができます。

しかし、ピアノはハンマーが弦を叩くことによって音が鳴るため、内部構造が複雑となっており、ピアノの弦は200本以上にも及ぶため、ピアノ調律師による専門の技術力が必要となります。

また、ピアノは温度や湿度などの多少の環境の変化でも音色に影響してくるとても繊細な楽器です。年数がたてば、弦が緩んでくるため音程が狂ってしまったり、ペダルや鍵盤が動かなくなってしまうこともあります。

ピアノの調律師というのは「ピアノの専門家」でもあり、その守備範囲は広く調律以外の修理に至る部分まで請け負うことがあります。

ピアノ調律師の仕事内容

ピアノ調律師が具体的にどのような仕事を行うか見ていきましょう。

まず、88もある鍵盤を一つ一つ何回か叩きながら音のずれや響きを確認していきます。1オクターブ違う音があっているかもチェックしていきます。

もしも音がずれていたり響きが鈍い場合は、チューニングハンマーと呼ばれる道具を使って弦のチューニングピンを回して音のずれを直していきます。

また、ハンマーのフェルトや硬さによって音色に変化をつける”整音”と呼ばれるものも調律師の仕事です。奏者の要望に合わせて、軽やかな音色や柔らかい音色、重みのある音色などを”整音”によってつくっていきます。

ピアノは打楽器なので、鍵盤を押したときにハンマーが弦を叩き音が鳴ります。この鍵盤からハンマーに力が伝わる部分を調整することで、鍵盤のタッチの感覚がなめらかになり弾きやすくなるのです。

よりリアルな仕事内容を知りたい方には、下記のインタビュー記事がオススメです。

元社会科教師からピアノ調律師という職人の道へ

ピアノ調律師の年収・福利厚生


出典:写真AC

では、気になるピアノ調律師の年収や福利厚生について見ていきましょう。

ピアノ調律師の年収

ピアノ調律師は、長期の修行によって会得した技術力を発揮して手作業で調律していく一種の「職人」です。

その待遇は小規模な会社と同じくらいのところが多く、大抵は見習いから入るので初めのうちは給与が20万円を超えないところが多いです。

年収にして200〜300万円となるでしょう。

しかし、年収が1,000万に届くケースもあります。

ベテランになり技術が高く有名になれば月に50件以上の仕事をこなすため、年収が1000万円近くなることもあるようです。基本的にピアノ調律の料金は、1回1万円ほどが相場なので、件数を多く獲得できるかが年収に直結してきます。

ピアノ調律師の福利厚生

会社勤めであれば、その会社によって福利厚生が受けられたり手当が発生します。しかし、フリーランスなど会社に所属せずに働く場合には、もちろん福利厚生はありません。

「それでも技術を習得してピアノ調律師になりたい」という強い気持ちを持った人が、一人前のピアノ調律師になっていくのです。

ピアノ調律師のメリット・デメリット


出典:写真AC

ピアノ調律師のメリット

ピアノ調律師のメリットは仕事に”自分らしさ”が出る点です。ピアノの調律や整音は、調律師の技量やセンスによって音色や鍵盤をたたいた時のなめらかさがまったく違います。

ですので、調律師は自分自身の技術を磨き努力を怠ることなく日々精進できる職業です。そのため、ピアノ調律師は非常にやりがいのある職業だといえます。

他にも、お客さんと深く関わりあえ、身近にお客さんの声が聞けることもメリットといえるでしょう。ピアノ調律師は奏者であるお客さんの要望に合わせて調律や整音、修理を行います。

例えば、「軽やかな響きにしてほしい」という要望や、「鍵盤のタッチをなめらかにしてほしい」などの要望に応えます。調律後のピアノの音色や響き、鍵盤の軽さはまったく異なるのでお客さんも気持ちよくピアノを演奏することができます。その様子や感想を直接聞けるのはピアノ調律師のメリットといえるでしょう。

ピアノ調律師に向いている人


出典:写真AC

では、ピアノ調律師に向いている人はどんな人なのでしょうか。見ていきましょう。

上記にもある通り、ピアノ調律師は技術を磨くために日々努力をしなければなりません。ですので、こだわりや使命感を持って仕事に向き合える人が向いているでしょう。

また、技術を磨くためには、忍耐と集中力も必要不可欠となってきます。絶えず努力を続けてきたスポーツマンや勉強熱心な人もピアノ調律師に向いています。

ピアノ調律師は様々な道具を使うため、体力が必要となってきます。また、身長も高ければ高いほど作業効率が上がるので、身長が高い人が向いています。具体的に、150~155センチ以上の身長があれば大丈夫です。聴力が優れている人もピアノの音のずれや狂いがわかるので向いています。

 

ピアノ調律師になるには

ピアノ調律師のなり方

ピアノ調律師になるには、調律師の技術を学ぶためにピアノ調律師の学科がある大学や専門学校、音楽楽器メーカーの調律師養成学校に行くことが一般的なルートです。

学校で学んだあとは、楽器メーカーや販売店、修理工房や事務所に就職して調律師として経験を積んでいきます。

しかし、就職してすぐにお客様のピアノを調律できるわけではありません。入社して何か月か経たないと調律ができないところもあり、グランドピアノになると2~3年の経験が必要となる場合もあります。

また、ピアノ調律師になるために絶対必要なものではありませんが、ピアノ調律技能士の国家資格を取得しているとお客さんの信用や就職時に有利に働く場合があります。

資格は1級・2級・3級があり、2級と3級は学校に通って学んでいれば取得することができます。1級は少し難易度が高いため容易に取得することはできませんが1級に向けて勉強していれば取得は難しくないでしょう。

技術の学び方

ピアノ調律師になるためには、基本的に専門の学校に行きます。調律を扱う音楽大学や専門学校などの養成機関でピアノの修理や調律を学び、実際に技術を習得していきます。

ピアノ調律師に資格制度はなく、専門学校卒業後に楽器店や調律を専門にしている会社や、ピアノの製造・修理会社に就職し、そこで修行をしながら一人前の調律師を目指していくという形をとるので、見習いと調律師の明確な境界線はありません。

ピアノ調律師が気をつけること

ピアノ調律師には技術力の他にも音を聞き分ける繊細な耳が必要となってくるので、大きな音を長時間聴くことがないようにし、できるだけ耳の劣化を防がなくてはなりません。

そのため、ヘッドフォンなどの使用をできるだけ控え、耳への負担を減らすことが求められます。また、日頃から良質なピアノの音を聴き、良い音を知っておくことも重要です。

ピアノ調律師に絶対音感は必要なのか


出典:写真AC

ピアノ調律師になるうえで、聴力に優れていることが必要なのはもちろんなのですが、絶対音感は必要不可欠なのでしょうか?

実は、ピアノ調律師になるうえで、絶対音感は必要ではありません

絶対音感とは、ある音を聴いただけで音名がわかることをいいます。調律師はオクターブで音が変化しないかなど音のずれや違和感、狂いを耳で感じ調律していくため絶対音感は必要なく、広い音域をもつ聴力が必要となってきます。聴力の衰えはピアノ調律師にとって痛手となるため、イヤホンやヘッドホンで音楽を聴くのは避けたほうが良いでしょう。

ピアノ調律師の現状と将来性


出典:写真AC

少子化も伴って、年々ピアノがあるご家庭が減ってきています。

また、ピアノといっても電子ピアノを持つ家庭が増えており、電子ピアノであればピアノ調律師は必要なくなってしまうため、現状、ピアノ調律師は減ってきています

さらには、ピアノ調律師の養成機関を卒業して無事に就職できても、就職先の待遇の悪さや長い修行期間への不安から早々にやめてしまう人も多いです。

なかなか厳しい現状ではありますが、それでも限られた人にしかできない仕事なのでやりがいが大きいです。職人と呼ばれる人たちは皆、自分たちの技に誇りを持って仕事をしています。ピアノ調律師も例外ではなく、いい音を出すという強い気持ちを根底において持てる技術をつぎ込んで行きます。

ピアノ調律師の将来性

電車ピアノの普及により、以前よりも需要が少なくなっていますが、演奏会やコンサートで使われるピアノの調律は今も昔も一定の需要があり、ピアノ調律師の主な仕事となってくるでしょう。

将来的にもピアノがなくなることは考えにくいため、もしピアノや音楽が好きで、何かピアノや音楽に関わる仕事がしたいと考えている方には、オススメの仕事のひとつと言えるでしょう。

ピアノ調律師の適正

年齢

人間の視力や聴力は20代前半にピークを迎え、30代を超えると徐々に低下する傾向にあるので、技術習得に関しては20代半ばまでに始めておくことが勧められます。そのため、中には入学の際に25歳以下といった年齢制限を設ける養成機関も存在します。

身体

調律する姿勢の問題で大体150cm以上の身長が求められることになります。さらに調律をする際に1オクターブ離れた音を同時に鳴らす作業が必要となってくるので手の大きさ・広がりもある方が良いです。

また、調律にはある程度の力が必要です。調律は常に身体全体を使って行われるため、それをこなすための筋力と体力はあればあるほどいいです。

性格

ピアノ調律はとても繊細な仕事なので、几帳面で集中力があり、細かい作業が好きな人が向いています。また、演奏することよりも楽器の構造や音が好きだという人にも適しています。

さらに、調律師になるとユーザーの思い通りの音に仕上げないといけないので、お客様からの要望を漏らすことなく細かく引き出す能力が求められます。つまり、一定のコミュニケーション能力が必要となってくるのです。

ピアノ調律師というやりがいある職業


出典:写真AC

いかがでしたでしょうか?ピアノ調律師は、技術面での努力や集中力はもちろんサービス業も兼ね備えているとても高度でやりがいのある職業だといえます。

残念ながら、ピアノ調律師は年々減ってきている現状ではありますがピアノという楽器がなくならない限り、メンテナンスも重要となってくるためピアノ調律師という職業がなくなる心配はありません。

しかし、他との差別化を図るために、技術面でのスキル向上はもちろん、お客さんのことを第一に考えたサービスを提供していく必要があるのです。

そんなピアノ調律師の仕事を実際に見てみたくありませんか?ピアノ調律師の仕事はピアノを持っていない限り、なかなか見れることはありません。そこで、大人の職場体験予約サイト「ココロミル」ではピアノ調律師の仕事を見学し、実際にピアノ調律ができる体験を行っています。

【ピアノ工房PIAPIT】ピアノを深く知る!ピアノ調律師体験

この体験では、鍵盤で音をならして音階を作る本格的な調律師体験だけでなく、ピアノの構造や違いなどここでしか聞けない貴重なピアノ話がもりだくさん!

また、ピアノ修理も体験し、弦やハンマーを修理・交換して再度組み立てるオーバーホールを見学することができます。

ピアノ調律師を目指している方はもちろん、ピアノが好きな方や、職人の仕事を間近で見たい方におすすめの体験です。

体験先:ピアノ工房PIAPIT
集合場所:「千葉ニュータウン中央駅」北口ロータリー
アクセス:北総線「千葉ニュータウン中央駅」より徒歩1分・京成成田スカイアクセス「千葉ニュータウン中央駅」より徒歩1分
体験時間:10:00 ~ 16:00 (6.0時間)
体験費用:8,000円

ピアノのすべてを知る!ピアノ調律師体験|大人の職場体験予約サイト「ココロミル」

体験の前に、どんな人か知りたい方には、体験先の2名のピアノ調律師へのインタビュー記事からご覧ください。

100点のない仕事|ピアノ調律師/渡辺順一

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元社会科教師からピアノ調律師という職人の道へ

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