結城紬とは|本場結城紬との違い・お手入れ方法・作り方をチェック

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日本最古の高級絹織物として有名な「結城紬」。実は、”本場結城紬”と”結城紬”では大きく異なることをご存知でしょうか?今回は、そのことも踏まえて結城紬についてご紹介します。

結城紬とは


出典:写真AC

結城紬(ゆうきつむぎ)は日本の織物の中で最も古い歴史を持つ高級絹織物です。鎌倉時代になって「結城紬」という名称が定着していきました。結城紬の原型とされる織物は当時、朝廷に献上されていた特産物として今現在も正倉院に収蔵されています。後に、「常陸紬」と呼ばれ、今現在の「結城紬」へと発展していきました。結城紬は日本を代表する最高級絹織物として、重要無形文化財にも指定されています。

結城紬は真綿から手で糸を紡ぐためにふわふわとした柔らかい肌触りが特徴です。結城紬は製造工程がすべて手作業・手紡ぎということもあって高級な織物なのです。

結城紬の歴史


出典:写真AC

上記にも挙げたとおり、結城紬は日本最古の高級織物です。結城紬は奈良時代に始まり、朝廷に特産物として結城紬を献上していました。室町時代には、茨城県結城地方の領主であった結城氏が織物の育成・発展に努め幕府や関東管領にも献上したことから「結城紬」と名づけられました。

江戸時代初期には、のちに大名となる伊奈忠次(いな ただつぐ)が各地の技術を用いて結城紬を改良し、より一層結城紬が世に知れ渡りました。その後も結城紬は発展と改良を続け、伝統的工芸品と製造工程において「重要無形文化財」に指定されました。

 

本場結城紬と結城紬の違い

結城紬と一言にいっても、ピンからキリまでつまり、ものによって値段の違いがあります。結城紬には、「本場結城紬」「ふつうの結城紬」とでまったく異なるのです。では、その2つの違いについてみていきましょう。

本場結城紬は、登録商標としている”結マークの証紙”がある結城紬でしか名乗ることができません。一方で、ふつうの結城紬は結マーク証紙のないものとなります。その代わりに赤い文字で「紬」と書いてある”紬マーク”と呼ばれる証紙があります。本場結城紬とそれ以外の結城紬を見分ける際には証紙に注目すると良いですね。

また、本場結城紬は多く生産できるふつうの結城紬と違って、製造工程のほとんどを手作業で行うために希少価値が高く、値段も張ります。本場結城紬の生地の質感としては、結城紬と比べて厚みがあり、しっかりとした風合いになっています。

本場結城紬とは


出典:写真AC

本場結城紬とは、登録商標としている”結マークの証紙”がある結城紬のことをいいます。蚕(かいこ)の繭(まゆ)を煮て柔らかくし「真綿」から糸を手で紡ぎだしています。

特に、本場結城紬の場合は縦糸・横糸の双方の糸を手で紡ぎ、一切機械を使いません。この製造法によって最高級の絹織物とされているのです。一つ一つ丁寧に手作業で作られた本場結城紬は、柔らかくふわふわとした肌触りで、古くより多くの人々を魅了してきました。

また、本場結城紬はすべて手紡ぎ糸で素材の良さを出しているので使えば使うほど、時間が経てば経つほど味のある美しい織物へと変化していきます。なぜ、このようなことが起こるのかというと、本場結城紬を製造する際の”加工”にあります。

本場結城紬では、小麦粉を糊(のり)に使用します。これを、湯通しや糊抜きを繰り返し行うことで結城紬本来の光沢や美しさを取り戻すのです。

結城紬の作り方を見てみよう

結城紬は真綿の糸紡ぎから始まるため、30ほどの工程を要します。なかでも、「糸紡ぎ」「絣括り(かすりくくり)」「機織り(はたおり)」の3つの工程は重要無形文化財にも指定されているほど繊細な作業です。本場結城紬は、この工程を行い、幅や長さ模様ずれなど16項目の厳しい審査に通ったもののみになります。

こちらでは、重要無形文化財に登録されている「糸紡ぎ」「絣括り(かすりくくり)」「機織り(はたおり)」の作業工程をご紹介します。

結城紬の作り方①<糸紡ぎ(いとつむぎ)>

糸紡ぎは、真綿を1本1本丁寧に糸にしていく作業です。約94gの真綿をすべて糸にするのに2週間近くの時間がかかります。

①「つくし」に真綿をかける

まず、「つくし」と呼ばれる棒状の道具に真綿を両手で横に広げるようにしてかけます。かけたら、真綿を三角状に開いてつくしを回転させて真綿を巻きつけます。

②糸を紡ぐ

左手の人差し指と親指を使って糸を引き出し、右手の指につばをつけながら親指と人差し指で糸にしていきます。出した糸は「おぼけ」とよばれる器に入れます。糸の太さは個人差がありますが、細くて良い糸は真綿からプイプイという音を出します。

結城紬の作り方②<絣括り(かすりくくり)>

絣括り(かすりくくり)は、墨付けした部分を木綿糸で括る作業です。木綿糸で括ることによって、染色の際に括った部分は染まらず、模様として残すことができます。

付けたい模様に合わせて数回木綿糸をまきつけ、特別な結び方で括ります。この際、きつく結ばないと綺麗な模様はできません。片方は短く、もう片方は長く糸を残します。1日に2000箇所絣括りの作業を行い、染色と絣括りを繰り返します。

結城紬の作り方③<機織り(はたおり)>

機織りでは日本最古の機織り機である「地機(じばた)」を使って織っていきます。足元にある紐を足で挟んで手前にひっぱることでかけ糸が持ち上がり下糸が上下する仕組みとなっています。

また、腰あてをあてている織手の腰によって経糸(たていと)の張力を調節しながら、杼(ひ)で横糸を打ち込み織っていきます。

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