食器などの身近な製品を作る「窯」についてご存知でしょうか?近代的な仕組みのものだと2,000年、古いものだと1万年もの歴史があり、今でも多くの製品が作られている「窯」について紹介していきます。
窯とは
窯とは、器物や金属、ガラスなどを焼いたり溶かしたりするために高温を出すための装置のことです。高温で熱して商品を生成することが特徴で、1,500度前後の高温を出すために工夫を凝らされています。
窯の歴史
出典:ウィキメディアコモンズ
窯の歴史は古く、古墳時代だと言われています。それ以前も、縄文時代から野焼きが行われていて、土器などを焼いて生成することは実施されていたため、広義の窯は1万年以上の歴史があると言えます。
日本で初めての本格的な窯は古墳時代に朝鮮半島から伝わってきた窖窯(あながま)だと言われています。
窖窯(穴窯/あながま)、は地面を掘りこんで作った横穴式の窯のことで、丘などの斜面をトンネル状にくり抜き、焚き口と煙道(えんどう)と呼ばれる煙突のような役割のものからできています。
15世紀末、室町時代のころになると、大窯と呼ばれる窯で製品が作られるようになります。大窯の特徴は、燃焼室の入り口側に大小の「分煙柱」と呼ばれる柱を設置したのが特徴です。
分煙柱とは、炎の熱を窯の全体にいきわたらせるための柱のことで、従来のものより広い焼成室を作れるのが特徴です。
16世紀後半になると、朝鮮半島から登窯(のぼりがま)と呼ばれる窯が伝わりました。登窯は、焼成室を連なる部屋のように分けているのが特徴で、焚口に近い燃焼室の炎の熱を次の間(部屋)でも流用し、足りない分だけ薪を補充します。
これまでの単室の窯と比べ温度管理が容易なうえ、排熱を流用できるので効率的になりました。
明治時代になるとドイツで石炭窯が開発され、薪と比べ手間もかからずコストも低いことから急速に普及しました。焚口が複数あり、温度が均一になります。
窯で作れるものとは?
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窯をつかって作れるものには、どのようなものがあるのでしょうか?いくつか紹介していきます。
まず、窯といえば陶磁器を連想する方も多いのではないでしょうか?陶磁器とは、粘土を練り固めて形を作り、1000度以上の高温で焼いたもので、皿や茶器、コップなどの食器や壺などが主に作れます。
続いて、ピザなどの食品も焼くことができます。窯で焼くことで、遠赤外線が出るため、内部までしっかり熱を通すことができ、ふっくらした食感を出すことができます。
また、ガラス製品は、高温の窯でガラスを溶かして形を作っていきます。
窯の作り方
出典:Pixabay
ピザを焼ける小さな窯は、自分で作ることができます。実は、本場のイタリアやヨーロッパでは家にピザ窯があり、そこで日常的にピザやパンを焼きます。
今回は、ピザ窯の作り方を紹介します。
用意するもの
耐火レンガ 基本形 | 81個 |
耐火レンガ 半マス | 9個 |
耐火レンガ 大判 | 5個 |
手順
1、窯を作る場所に基本形レンガを敷く
平らな、安定する場所に基本形レンガを18枚敷いていきます。
2、2~5段目のレンガを並べる
一段目の周りをコの字型に並ぶようにレンガを並べていきます。
このとき、半マスのレンガを使って互い違いになるように並べます。
3、6段目のレンガを並べる
大判レンガ2枚と基本形レンガを使って、台となる6段目のレンガを並べます。手前側に大判レンガを2枚ならべることで、奥に煙が通る通気口ができます。
4、7~9段目のレンガを並べる
2~4段目と同様にレンガを並べていきます。この際、8段目後方真ん中のレンガに半マスのレンガを使うことで、通気口を確保します。この通気口がないと、煙が調理物に乗り、いぶしたような味になってしまいます。
5、大判レンガを載せて完成
いかがでしょうか?セメントや接着剤も使わず簡単にできます。ぜひトライしてみてくださいね。