猫皮の三味線の特徴
出典:写真AC
猫皮で作られた三味線は、犬皮で作られた三味線よりも繊細な音色を奏でます。主に、高級な細棹三味線(ほそざおじゃみせん)と地唄用の中棹三味線(なかざおじゃみせん)に使われます。
猫皮は毛穴が小さく、薄いという特徴を持ちます。皮が薄いほど抜けの良い軽やかな音が出ます。また、1枚の皮の中でも薄い部分と厚い部分の差があり、その差が大きいほどよく鳴る三味線となります。
犬皮の三味線の特徴
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一方で、犬皮で作られた三味線は、猫皮よりも分厚いため重厚な音色を奏でるようになります。また、猫皮よりも丈夫で長持ちします。ですので、稽古用の三味線や太棹三味線に犬皮がよく使われます。
また、犬皮の三味線でも津軽用(太棹)、地唄用(中棹)、長唄用(細棹)など種類によって厚さ・音色が異なります。
猫皮・犬皮を使った三味線は動物愛護法違反になるのか?
今現在も輸入によって猫皮や犬皮の三味線が作られていますが、そこで気になるのが動物愛護の点でしょう。この三味線は果たして動物愛護法違反となるのでしょうか?
まず、動物愛護法は以下のように記されています。
愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
今回は、三味線を作るうえで猫皮・犬皮を使うことが「愛護動物をみだりに殺し」に当てはまるのかという点が重要となってきます。その点では、わに革などの製品が製造・販売されているため犬皮・猫皮を使った三味線は動物愛護法違反ではないでしょう。
しかし、道徳的・動物愛護的な視点から世界的に三味線を作るために猫皮・犬皮を提供することを良しとしない状況となってきています。よって犬皮・猫皮の入手が困難になり、皮の価格が高騰して三味線職人や奏者にとって深刻な問題となっているのです。
現在も三味線に猫の皮が使われているのか?
出典:写真AC
日本の三味線は、猫皮・犬皮を中国やタイから輸入してきています。しかし、上記にあるように動物愛護の流れによって猫と犬が保護対象となったために、猫皮・犬皮が入手困難になり、いずれは供給が完全にストップしてしまうそうです。
そこで、近年では三味線の材料としてカンガルーの皮を使う検討がなされているようです。オーストラリアではカンガルーが人口の2倍おり、そこから輸入して三味線の伝統を守っていく方針です。また、気になる音色ですが、カンガルーの皮は三味線との相性が良く、力強い音色を奏でるため三味線にはうってつけの材料といえるでしょう。
三味線の今後とは…
いかがでしたでしょうか?今回は三味線の材料が猫、そして犬が使われていることから三味線について様々な角度から見てきました。かつては犬皮・猫皮の三味線が流行り、「猫捕り」と呼ばれる者もいたようですが、今となっては動物愛護の流れで存続の危機に陥っているようです。
猫皮・犬皮の三味線についての良し悪しを決めることは難しいですが、なんとか技術・伝統継承の面と動物愛護の双方で納得のいく形で三味線が作られれば良いですね。
日本初!三味線を1から作ってみよう
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