近年「脱サラといえば農業」と連想されるほど、脱サラ農業の人気が高まっています。
なぜ脱サラで農業が人気なのでしょうか?人気の理由、メリットやデメリット、成功する人の特徴や資金面などを紹介します。
脱サラ農業起業が人気の理由とは?
近年、20代や30代の若者が会社を辞めて農業に参入するといった「脱サラ農業」の人気が高まっています。なぜなのでしょうか?
実は、「青年就農給付金」と呼ばれる給付金が理由の一つだと言われています。
従来、農業は耕作放棄を防ぐため、算入にあたり規制が敷かれていましたが、近年の農業人口の高齢化などを受け、若者の就農を促進しようという動きになっています。その一環として、2012年に始まったのが青年就農給付金です。
農業の研修期間中はもちろん、就農後の収入が不安定な時期にも給付を受けられるのが大きな特徴で、資金の少ない若年層がチャレンジするための後押しとなっています。
青年就農給付金では、研修期間の最長2年間と、就農後の最長5年間、最大150万円の給付金を受け取ることができます。最低でも5年間農業を続けなければならないなどの制約はありますが、大きな資金源を確保することができ、大きいメリットがあります。
実際、2010年に600人だった39歳以下の就農者は2014年に2,000人まで急増し、脱サラ後の人気の仕事の一つとなりました。
農業を始める前に知っておきたいこと
脱サラ農業が人気の理由がわかったでしょうか?ここで、農業を始める前に知っておきたい、費用や企業にかかる時間、農業という仕事について紹介します。
①初期費用
機械や設備を多く使う農業は、起業にかかる初期費用が多くかかるイメージを持つ方も多いかと思います。
実は、農業は数十万円から始められるといわれています。トラクターなどの機械類は借りたり中古品を購入することで、それほど投資をせずに始めることができます。
なお、トマトなどのハウス栽培では温度管理などの設備で数百万円から一千万円ほどかかるといわれています。
②起業にかかる時間
一般的に、農業で生計が立つまで2年半以上かかると言われています。土づくりや苗を育て、定着させるにはこのくらいの時間が必要だと言えます。
現在、手厚い給付金はありますが、3年間生活できるだけの資金があると安心です。
③農業という仕事
そもそも、農業というのはどのような仕事なのでしょうか?
まず、早寝早起きで自然に近い暮らしをするということがあげられます。外での作業なので、朝、日が出るとともに起床し、畑に出て、夕方日が落ちる頃に帰宅するという生活です。これはイメージ通りなのではないでしょうか?
そして、農業は工夫が必要なクリエイティブな仕事です。
たとえば、農薬を使う生産方式なのか、無農薬栽培をするのか。品種はどうするか、そもそも何を作るのかなど。決めることが多くあります。そして、時には感覚に頼りながらの作業もあります。
脱サラ農業のメリット・デメリット
それでは、脱サラして農家になることや、農業を選ぶことにはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?見ていきましょう。
脱サラ農業のメリット
まず、脱サラ農業は一般的に精神面も含めて体に良い影響を与えます。朝太陽の光を浴びることで、生活リズムが整い、夜もぐっすり眠れるので、太陽の動きに合わせて生活する農業に従事してからは、うつ病が治ったという人も現れています。
自分で作った新鮮な野菜を食べられることで野菜の摂取量が増えることや、農作業で身体を動かすことでも健康な身体を手に入れることができます。
続いて、自分で休みを選べることもメリットになります。作物によっては長い休暇があったり、雨が降れば仕事ができないのでお休みになります。もちろん、選ぶ作物や栽培手法によっては毎日面倒を見なければならない場合もありますが、自分で仕事と休みのバランスを決めることができると言えるでしょう。
そして、やり方次第でかなりの収益を上げれることも大きなメリットです。
農業では、自分が経営者となり、効率化や規模を決め、ブランディングなどもしていくこととなります。
中には、仕事の効率化を図り閑散期は週休5日で年収2,000万円をたたき出す人も現れています。
脱サラ農業のデメリット
台風などにより作物に被害があった場合は、収入が激減する場合があります。そのほかにも、日照時間など経営者以外の要因により収入が浮き沈みしてしまうことは大きなデメリットだと言えるでしょう。
また、時間を縛られることもデメリットだと言えます。農業では、天候に合わせて作業をしたり、成長に合わせて作業をしなくてはなりません。風邪をひいても作物の成長は待ってくれないのです。