会社の飲み会などで「今夜は無礼講ですので大いに楽しみましょう!」などと言っている場面を見たことある人もいるのではないでしょうか。実はこの”無礼講(ぶれいこう)”は「無礼をしてもかまわない」という意味ではありません。
今回は「無礼講(ぶれいこう)」の正しい意味や使い方、語源を見ていきましょう。
【意味】 | 身分や地位を無視して行う宴会のこと |
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【由来】 | 鎌倉時代、後醍醐天皇が1324年に正中の変を起こす際、極秘に鎌倉幕府を討幕を図る密議のために側近たちと上下関係のない宴の席を開いたことから。 |
【類語】 | 「裃を脱ぐ(かみしもをぬぐ)」「忌憚なく(きたんなく)」「城府を設けず」「胸襟を開く(きょうきんをひらく)」 |
【対義語】 | 「慇懃講(いんぎんこう)」 |
【英訳】 | 「informal」「do away with ceremony」「without the formality」「loosen up and enjoy」 |
無礼講(ぶれいこう)の意味
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無礼講は、身分や地位を無視して行う宴会のことを指します。つまり、身分や上下の差別なく、かしこまった礼儀作法を気にせずに宴会を楽しもうということです。
中には、「無礼講=無礼な態度をとっても良い」と解釈している人も少なくないようですがそれは大間違い。無礼講だからと言って目上の人や上司に対して失礼な態度・言動を取ることはよろしくありません。あくまでも、あまり堅苦しくなくてよいというはからいの言葉であるので、その点をわきまえて無礼講を楽しみましょう。
無礼講(ぶれいこう)はいつから始まったのか
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無礼講という言葉は「失礼な態度をとっても良い」という意味ではないことがわかりました。無礼講の由来・語源を見ていくとその理由がわかります。
遡ること鎌倉時代、後醍醐天皇が1324年に正中の変を起こす際、極秘に鎌倉幕府を討幕を図る密議のために側近たちと上下関係のない宴の席を開きました。
当時の宴会の席ではお酌をする順番が身分によって決められており、上下関係の礼儀を重んじなければなりませんでした。礼儀があってはそれぞれの本心が見えず、討幕計画の話が円滑に進まなくなります。
そこで、後醍醐天皇は、公家の烏帽子や僧侶の法衣など身分のわかるものを脱ぎ、上下関係を取り払って酒を取り交わしました。「無礼講」はここから始まったとされています。「無礼‐講」ではなく「無‐礼講」であることがよくわかりますね。
無礼講の使い方・例文をチェック
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無礼講の意味、そして由来を見てきました。こちらでは、無礼講の使い方を見ていきましょう。実際の場面で使う際、使われている際には是非、こちらを参考にしてみてください。
「今宵は無礼講なのだから分け隔てなく酒を飲み交わそうではないか」
こちらの例文は、酒の席でかしこまった宴会を嫌う上司が部下に言っているような場面が伺えます。ですが、いくら上司が「無礼講」といっても最低限の礼儀を忘れてはいけません。
「昨日の無礼講の席で、羽目を外しすぎてしまい上司との仲が険悪になった」
こちらは、無礼講という意味を正しく解釈しておらず羽目を外してしまったという例文です。正しく無礼講の意味を解釈せず、礼儀を重んじなければ上司や他の人との関係も崩れてしまう可能性があるのです。
「無礼講だからといって、礼儀を忘れてはいけない」
こちらの例文では、かしこまった形式や上下関係のあるような形式を取り払った無礼講ではあるが、最低限の礼儀、失礼があってはならないと釘を差しているものです。お互い気持ちよくお酒を飲み楽しむためにも、無礼講という言葉の意味を正しく理解していきたいですね。