言葉の意味には歴史的な背景が含まれていたり、語源に深い意味があるということが多くあります。
「単刀直入」という言葉、普段何気なく使う方も多いのではないでしょうか?この言葉のが出来たのは、中世・中国の宋からだといわれています。「単刀直入」の意味・由来から英語での表現まで紹介していきます。
【意味】 | 回りくどい言い方をせずにハッキリとモノを言うこと |
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【由来】 | 一人で敵陣に突入し、刀一本だけで切り込むことから |
【類語】 | 「率直」「堂々」 |
【対義語】 | 「言葉を選ぶ」「回りくどい」 |
【英訳】 | 「straightforward」「speak frankly」「get straight to the point」 |
以下では「単刀直入」について詳しく見ていきます。
「単刀直入」の意味
出典:ウィキメディアコモンズ
「単刀直入」の意味は、「回りくどい言い方をせずにハッキリとモノを言う」ことです。
特に、悪い知らせなどでは、いきなり本題に入るのではなく前置きを作ってから核心を伝える場面が多くあります。「単刀直入」に言うことは、前置きなく本題に入ることを言います。
「単刀直入」の由来・言葉の背景
出典:ウィキペディア
「単刀直入」とは、元々「一人で敵陣に突入し、刀一本だけで切り込む」ことを表す言葉でした。
つまり「単刀」というのはたった一本の刀を表します。とても勇気のいることですが、不利なことだけではありません。同時に、相手も十分な準備ができないまま対応しなければならない事も意味しており、ここから派生し、「回りくどいことを言わずにモノを言う」という意味の四字熟語『単刀直入』ができたのです。
また、この「単刀直入」という言葉は、中国で宋の時代から使われて来たことがわかっています。
中国で宋の時代の禅僧の伝記を収録している『景徳伝灯録(けいとくでんとうろく)』の中にある文で、「単刀直入に言えば、凡人でも聖人でも本性がわかってしまう」という意味の「単刀直入すれば、即(すなわ)ち凡聖ことごとく真を表す」に出現しています。
昔の中国では、知恵のある人ほど回りくどい言い方をし、外堀を埋めてから本題に入ることで、話の主導権を握っていったことや、回りくどい言い方自体が知識と教養をアピールするツールになっていたため、話を有利に進めれたとされています。
そこで、敢えて単刀直入に、いきなり本題に入ることで、すぐに核心を突かれるため、相手は取り繕う余裕もなく本性を測ることができるというわけです。
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「単刀直入」の使い方・例文
出典:写真AC
それでは、「単刀直入」という言葉は、いったいどういった場面で使うのでしょうか?
例文とともに見ていきましょう。
「結局何が言いたいかわからないので、単刀直入に言ってほしい」
このような経験がある方も多いのではないでしょうか。言いにくいことを話すときは、つい回りくどい言い方をしてしまう事も多いですが、あまりにも回りくどい言い方をすると、結局何が言いたいのか伝わらなくなってしまいます。
時には、勇気を出して単刀直入に物事を伝えなければならない場面があるかもしれませんね。
一方、こんな経験もあるのではないでしょうか?
「彼は、いつも単刀直入に話をするから苦手だ」
デリケートな話題を単刀直入に話すと、失礼な人と思われてしまったり、相手の気分を害してしまうかもしれません。
「単刀直入」に言うと良い場面、遠回しに伝えるべき場面を見極めることが必要でしょう。
「単刀直入」の類義語・対義語とは
出典:写真AC
「単刀直入」の類義語
「単刀直入」の類義語としては、「率直」「堂々」などが考えられるでしょう。
「率直」は、ありのままで、取り繕(つくろ)ったり隠したりしないで素直であることを意味し、「単刀直入」は発言に対して多用されるのに対し、「率直」は行動や振る舞いなどにも使われます。
「堂々」は、立派なさまのことやコソコソせずに公然としていることを言い、「堂々とした態度」というように、振る舞いや様子、態度などの場面で使われるのが特徴です。
「単刀直入」の対義語
「単刀直入」の対義語としては、「言葉を選ぶ」「回りくどい」などが当てはまります。
「単刀直入」に話すのとは対照的に、相手を刺激しないような言い方のことで、言葉の受け手にとって、気を使って話してもらっていると思えば「言葉を選んで」話をされていると言え、度合いを超えていると「回りくどい」と判断されるといえるでしょう。