「しのぎを削る」の意味と使い方│類語・対義語・英訳もチェック!

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しのぎを削るの類語・対義語


出典:Pixabay

「しのぎを削る」の類義語としては、「つばぜり合い」「張り合う」「戦う」「覇権争いをする」などがあげられます。

「つばぜり合い」は、漢字で「鍔ぜり合い」「鍔迫り合い」「鍔競り合い」などと表記することもあり、剣道や西洋剣術において、打ち合った刀や竹刀(しない)を刀の刃と持ち手の間の部具である鍔で押し合う状況を言います。

そこから転じて、激しい勝負や接戦を表す言葉となったことから、「しのぎを削る」の類語だと言えます。由来も意味もとても近い言葉となっています。

「張り合う」は、同じ目標に向かって競い合うことや、相手に負けないよう競争し合うという意味の言葉で、「しのぎを削る」と比べ、ライバルとの闘いなど、相手が敵だとは言い切れない場面が多くなります。「意地を張り合う」のような用例もあり、総じて「しのぎを削る」の方が激しい争いのニュアンスとなります。

「戦う」は、戦争や試合、喧嘩などの、目に見える物理的な戦いの場面で多用されるものです。「しのぎを削る」と比べると広い意味での戦いを表し、競争力が拮抗していない場合や穏やかな争いでも「戦う」を使うことができます。

「覇権争いをする」は、少しでも良い地位や権力を得るために複数が争うことを意味します。かなり近い意味の言葉ですが、スポーツなどよりも、国同士の勢力争いや企業の業界シェア争いなど、少し大きなスケールの話で主に使われます。

全く反対の意味を持つ対義語はありませんが、激しい戦いという意味と対称に、直接的にぶつかり合っていない静かな争いと言える「冷戦状態」「緊張状態」などは、対義語に近い意味の言葉として考えられます。

しのぎを削るを英語でいうと…


出典:写真AC

「しのぎを削る」の英訳としては”engage in fierce competition”などが適しています。

”fierce”は「激しい」、”competition”は「競争」、”engage”は「参加する」を表す単語で、直訳としては「激しい競争に参加する」にあたるので、単なる争いや競争とはちがい、熱戦であることを強調することができます。

また、「試合に参加する」という意味を持つ“joust”も適した単語だといえます。

”joust”は、本来の意味として、中世騎士の「馬上槍試合(ばじょうやりじあい)」を表します。馬上槍試合とは、中世の西欧で流行した、騎士同氏が技量を争う競技会のことで、軍事演習のような意味合いも持っていました。

馬上槍試合は、槍同士で突きあい、衝撃で落馬したほうが負けという競技で、槍が派手に砕けるような迫力のある競技で、中世のヨーロッパではとても人気だったとされていますが、実戦さながらの競技だったため、槍による傷や馬に踏みつぶされたことで死傷者が大勢いたのだとか。

危険を承知でも試合に参加したのは、勝てば名声を得られることや、賞金を得られることなどが理由だと言われています。そこから転じて試合に参加するという意味を持つようになったのですが、それはまさに「しのぎを削る」ような戦いだったことでしょう。

「しのぎを削る」場面では歴史に想いを馳せてみよう


出典:ウィキメディアコモンズ

「戦う」という意味を持つ言葉は多くありますが、その中でも、「しのぎを削る」というのが強い意味を持つ言葉だということは、言葉の生まれる背景などから分かったかと思います。中世の武士たちは、まさに命を懸けて「鎬を削って」いたのです。

現代の世界は、試験、就活、出世、競合他社など、あらゆる場所で競争に巻き込まれる「競争社会」だといわれています。しかし、何らかの形で競争があるのはどの時代も一緒。そう考えることができれば少し心の荷が下りることでしょう。

「しのぎを削る」ような場面に遭遇した時、武士達がどのような思いで”鎬”を削っていたのか、歴史に想いを馳せてみるのも面白いかもしれませんね。

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