言葉の意味には歴史的な背景が含まれていたり、語源に深い意味があるということが多くあります。
『切羽詰まる』という言葉、普段何気なく使う方も多いのではないでしょうか?この言葉は中世の武家の世界で成立したといわれています。今回は、『切羽詰まる』の意味・由来から英語での表現まで紹介していきます。
【意味】 | 物事が差し迫ってどうしようもなくなること。 |
---|---|
【由来・言葉の背景】 | 身を守るためにも刀を抜かなければならない場面で刀が抜けなくなってしまうことから。 |
【類語】 | 「張り詰める」「追い込まれる」「窮地に立たされる」「尻に火がつく」 |
【対義語】 | 「余裕がある」「ゆとりがある」 |
【英訳】 | 「at one’s wits’ end」「not knowing what to do」「stuck」 |
「切羽詰まる」の意味
出典:Pixabay
『切羽詰まる(せっぱつまる)』の意味は、「物事が差し迫ってどうしようもなくなる」ことです。
複数の物事が入ってきたり、時間に追われるなどでものすごく困ってしまう状況のことで、土壇場にも関わらず策がない状態のことを言います。
「切羽詰まる」の由来・言葉の背景
出典:ウィキペディア
「切羽詰まる」とは、元々「刀が抜けない」という状態を表す言葉でした。
「切羽(せっぱ)」というのは、刀のつばのところにある薄い金物で、刀をしまう「鞘(さや)」と手で刀を持つ部分の「柄(つか)」に接するように両面に添えたものです。つまり、切羽が詰まるというのは刀が抜けない事を指します。
中世の武士の世界では、人を切るのが当たり前の時代。身を守るためにも刀を抜かなければならない場面が多くあり、そのような状況で「切羽」が詰まるというのは、まさに生死をも分ける困難とも言えます。
ここから派生し、「物事が差し迫ってどうしようもなくなる」という意味の日本語『切羽詰まる』ができたのです。
「切羽詰まる」の語源である刀に触れる体験はこちら。
「切羽詰まる」の使い方・例文
出典:Pixabay
それでは、切羽詰まるという言葉は、いったいどういった場面で使うのでしょうか?
例文とともに見ていきましょう。
「今日が納期なのに、不具合が見つかって切羽詰まった。」
このように、期限が差し迫りどうしようもなく、追い詰められている状況は、『切羽詰まった』状態と言えますね。もともと追われていたものに対して、横やりが入ったかのように次の問題が飛び込んでくる様子は、まさにどうしようもない状況を端的に表す「切羽詰まる」という言葉が適しています。
「給料日まで10日あるのに500円しかなくて切羽詰まった。」
こんな状況も切羽詰まった状況といえるでしょう。追いつめられるような場合とは逆に、乗り切れなくてどうしようもないといった状況でも「切羽詰まる」を使うことができます。
「精神的に切羽詰まって退職を決意した。」
「切羽詰まる」という言葉は、精神的に追い込まれたような場面でも使うことができます。環境などに追いつめられ、どうしようもないという事が表現できます。