横綱を頂点とする、相撲の番付はご存じでしょうか。知っている人にとっては常識の範疇ですが、知らない人は番付と言われても全くピンと来ないかもしれません。関脇と小結では、どちらが上か即答できますか?また、どの階級から関取と呼んでいいのかわかりますでしょうか。
番付とは、「長者番付」など、ありとあらゆるランキングに使われますが、もともとは相撲から出ています。スポーツにおいて、特にサッカーやテニスなど世界ランキングが存在するスポーツで、広く使われる「番狂わせ」も、結果が「番付」通りにならなかったことから来ています。
横綱の番付順番を一覧にして紹介
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相撲の番付を頂点から見ていきましょう。横綱・大関・関脇・小結・前頭・十両・幕下・三段目・序二段・序ノ口となります。序ノ口以前には「前相撲」がありますが、これは番付には含まれません。相撲界の頂点である横綱は一番強くなければならず、また常に品格を求められる存在です。
横綱は、他の幕内力士とは別個に、露払いと太刀持ちを従えて横綱土俵入りをおこないます。不甲斐ない成績が続いたときや不祥事により、引退勧告が横綱審議委員から出されることがあるのはご存じでしょう。大関はかつての最高位で、語源は「大関取」とされます。
現在では綱取り、つまり横綱を目指す存在です。昇進伝達式が行われるのは大関以上で、新横綱・新大関が使者から口上を聴き、その場で用意しておいた決意表明をする場面はおなじみでしょう。大関も大変な名誉で特権も多いものの、2場所連続負け越すと関脇に陥落します。
大関にまで昇進しながら、毎場所9勝6敗となるような力士は「クンロク大関」と呼ばれ揶揄されます。続いて関脇と小結です。大関・関脇・小結を総称して三役といいます。本場所の最終日である千秋楽では、結びの三番を務める三役について「これより三役」として別格に扱います。
「三役揃い踏み」として、土俵でしこを踏む儀式もあります。子の下が、大勢いる前頭です。三役をうかがう幕内筆頭から、最大で十六枚目まで、三役の人数によって変化するものの、最大32人います。これだけいますと上位の前頭と下位の前頭とでは実力もだいぶ異なりますので、対戦することは多くありません。
上位力士は横綱を含む三役と対戦し、横綱に勝った場合は「金星」と呼ばれます。幕内力士は、横綱を除き、豪華な化粧まわしを付けて土俵入りができます。幕内の下が十両です。
十両は、幕内力士とは別の、十両優勝を争う一段下の存在ですが、十両も化粧まわしをつけ土俵入りができる、相撲界においては随分と格上の存在です。
関取と呼ばれるのも十両以上です。関取は相撲部屋でも個室が与えられ、大銀杏を結え、相撲協会から給料ももらえますので、幕下以下とは扱いがまるで異なります。十両からは、本場所中は15日間取り組みがあり、幕内力士に欠員が出た際は、前頭との取り組みもあります。
十両の下は、幕下です。実力派力士が揃いますが、相撲界での扱いは十両とは雲泥の差がある厳しい階級です。大学相撲で優秀な成績を納めて大相撲に来た力士は、幕下付出といってここからの出発が認められます。
幕下は十両と同様に各階級内で優勝を争いますが、取り組みは15日の本場所のうち7日間です。さらにその下は三段目、序二段、序ノ口です。早い時間から取り組みをしており、客の少ない中、熱心なファンが取り組みを見守っています。
横綱になるためには
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相撲界の頂点は横綱ですが、この横綱にはどうすればなれるのでしょうか。最速で横綱となったのは朝青龍で、初土俵から25場所で横綱となりました。
一方、現役横綱の 稀勢の里は、73場所要しています。理論上は、大変強い力士がいて、一切負けることがない場合は、12場所程度で横綱になれると考えられます。
もちろん、他の力士の存在も影響するので偶然の要素もありますし、また横綱審議委員会に掛けられる以上、機械的に昇進が決まるものではない点はお断りしておきますが、この場合は117勝0敗で横綱になれます。