最高級織物”結城紬”の伝統工芸士一家|織物職人/北村初雄

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北村織物

四代目 / 北村初雄(65)

結城紬 伝統工芸士

<結城紬とは>

茨城県結城市を中心に生産の場とする絹織物で、国の重要無形文化財に指定されている最高級織物のひとつだ。全行程が手作業で織られていて、糸つむぎ、絣くくり、地機織りは重要無形文化財である三工程に技術指定されている。

北村織物は北村初雄さんを始め、妻の道子さん、息子の陵さん家族全員が伝統工芸士に認定されている。

今回は北村織物の四代目である初雄さんに話を伺った。

結城紬の世界に入ったきっかけとは

高校を卒業し、四代目としてこの世界に足を踏み入れた初雄さん。家業を継ぐことにした理由について聞いた。

「親が自分に継がせるという教育をずっとしてくれていました。うちでは東京に行ってしまったら帰ってこないという考え方でしたから。だからこの世界に入ったのも自然の流れでしたね」

当時、結城市には昔1,600軒ほどの結城紬を扱う事業者があり、バブル期だった。しかしリーマンショックから現在に至るまでに50軒ほどに減っているとのこと。

「最初は将来を考えましたね。実際に問屋からの仕事もなくなってきました。だから自分の代から自社のホームページを立ち上げて、直接消費者に販売しています」

結城紬の魅力とは

生産業者が減ったとはいえ、結城紬は日本が誇る最高級絹織物のひとつであることに間違いない。結城紬の特徴はどんなところにあるのか。

「結城は、原料の糸作りから、反物が出来上がるまでが全て手作業で行われます。手紬糸、絣くくり、地機で織るのが結城紬の特徴ですね」

糸から手作りすることによるメリットは何なのか

「風合いが全然違いますね。より回転がかからない糸なので、糸に空気が入りやすいんですよね。そうすると柔らかさがでて、着た時に軽くて暖かいです」

「あとは革と同じで、着こなせば着こなすほど色の風合いも良くなり、艶が出ていい味がでるんですよね。」

その理由に、普通生糸を光沢があるまま糸にするが、結城紬はセリシンという光沢のある物質を重曹で煮てとってしまい、フィブロインという物質を残して糸にすることにある。他の着物と比べるとラメのような光沢ではなく、真珠のようなこもった光沢になるとのこと。

結城紬は宇宙と同じ

初雄さんにとっての仕事でのやりがいはどこで感じるのか聞いた。

「結城紬の職人に100はないですからね。宇宙と同じですよ。知れば知るほど奥が深い世界ですね。だって100%これが正しいというのがないですから。そういう意味では大変でもあり、やりがいにもなりますよね」

初雄さんも実際、元々モノづくりが好きではなく、この世界に入ってから好きになったという。それだけ奥が深く、どっぷり結城紬の魅力にハマってしまったとのこと。

今後の目標とは

「個人では地機を使って違うものを織ってみたい。結城紬の技術を生かしつつ、他の材料と融合することで新たなものが生まれるかもしれないと考えると面白いですよね」

最後に体験希望者へのメッセージをお願いした。

「体験を通じて本物を感じてほしいですね。なぜこんなに高級な品物なのか手作業での工程や技術を見て頂ければ納得できると思います」

※左から順に北村初雄、道子、陵

インタビュアー後記

インタビュー後には実際に結城紬を触らせて頂きました。ひやっとせず温かみのある手触りと、軽さには驚きました。北村織物では織り、染色部門の伝統工芸士が在籍している為、知識、技術の両方を兼ね備えた職人に教わることのできる体験になります。ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。

伝統工芸士の北村さん一家が開催する体験プラン

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