「先日、嫌だと言ったのに野球に駆り出されて、車はパンクするし着ていた服は破れるし試合には負けるしでまいったよ」 「まさに満身創痍といえるね」
「満身創痍」という4字熟語、テレビなどのスポーツ中継などでは聞くことはあっても、なかなか日常生活では使うこともない言葉ですよね。
上記の例文で「満身創痍」と言われた人はまさに踏んだり蹴ったりの状態ですが、果たしてこの場合に「満身創痍」という表現は正しい使い方なのでしょうか。そういった部分も含めて「満身創痍」について解説していきます。
満身創痍の意味
「満身創痍」は「まんしんそうい」と読み、「満身創痍」という言葉は、「ひどく痛めつけられて非難をされること」、「手ひどく痛めつけられること」などの意味を表しています。
なので、「満身創痍」は「身も体も痛めつけられて踏んだり蹴ったりの状態」などという意味合いとして捉えれば間違いないでしょう。
満身創痍の由来 ・言葉の背景
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「満身創痍」という言葉の背景にはどういったものがあるのでしょうか。まず、体や全身の意味を表している「満身」に、どちらも傷という意味合いを備えている「創」「痍」が重ねて付け加えられています。
同じ意味の言葉を重ねて表現していることにより、全身に傷という傷を負っているという意味合いになり、「全身にこれでもかという傷を負った」ということになるわけです。
さらに、「満身創痍」には身体だけでの傷ではなく、内面的な傷を負ったという意味の表現も含まれておりますので、まさに体から心までボロボロという状態を表していることとなります。
また、「満身創痍」という言葉を使用する場合には、「自分で自分に対して行った行為でボロボロになった」場合ではなく、「誰かに傷つけられてボロボロになった」ということを表していることに気を付けましょう。
そのため、自分からの要望や要求で傷を負ったり精神的苦痛を味わったとしても「満身創痍」とは言わないでの注意が必要です。
満身創痍の例文を紹介
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では実際に「満身創痍」とはどういった場面で使うのが正しい使い方なのでしょうか。いくつか例文を上げていきます。
・「ピッチャーの彼は大きな得点差をつけられ満身創痍で投げぬいた」
・「思わぬ事故にあい、満身創痍な姿になってしまった」
・「たとえ満身創痍になっても、この状況を抜け出したい」
・「彼女の競技人生はまさに満身創痍だったといえる」
いずれの場合においても、自ら望んで苦境に立ち傷ついた場合は満身創痍になりませんので、そういった状況的背景も考慮しながら「満身創痍」という言葉を使用するように心がけましょう。