猟師に向いている人、向いてない人
猟師は個人で行動することがほとんどです。そのため、何でも一人で行動して解決できることが得意な人に向いています。 当然、山のなかを歩き回ることになるので、体力に自信があって山歩きなどが得意な人にも向いています。 ただし、狩猟のシーズンは基本的に冬です。
寒いなか、獲物を辛抱強く待たなければいけないこともあるので、寒さが苦手な人には向いていないでしょう。 自然や動物とのつきあいが得意な人も、猟師には向いています。ただし、あくまで猟師の仕事は動物の命を奪うこと。ただの動物好きだけではつとまりません。
自然の厳しさと向き合い、つねに敬意と感謝を忘れない気持ちが必要です。 狩猟では、猟犬が有能なパートナーをつとめてくれます。普段からトレーニングや散歩なども行うので、犬や動物の飼育が苦手という人には向いていないでしょう。
かっとしやすく、自分の感情を抑えるのが苦手な人も向いていません。山のなかで辛抱強く、獲物をじっと待ち続けなければいけないのが猟師だからです。銃を所持する以上、人に対しても強い感情をぶつけることは許されないことを覚悟してください。
猟師の将来性
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猟師を生業とする人は少なくなる一方で、この40年間でおよそ40万人以上も数が減っています。その結果として、猟友会の会員もかなり高齢化が進んでいます。 そのおもな原因が、森林やそこに住む野生動物の減少です。それにくわえ、現在ではウサギやシカ、イノシシといった野生動物を食用とする機会も減ってしまいました。
一般家庭に並ぶ食肉は、ほとんどが家畜の肉です。 こうした現状から、専業の猟師は今では数えるほどしかいません。 一方で、害獣による被害は現在もますます深刻化しています。森林伐採の影響で野生動物が人里にあらわれたり、地域によってはシカの増えすぎで食害にあったり、森林破壊なども起こっています。
駆除にあたることができる経験豊富な猟師は、よりニーズが高まっているといえます。 このような流れのなか、最近ではジビエ料理などの流行もあって、若者のなかにも猟師に興味を持つ人が増えてきました。
「狩りガール」と呼ばれる、女性の猟師も増えてきています。猟友会の開催する講習会には、立ち見が出るほど多くの人も集まるといいます。 こうした環境は、今猟師になりたい人にとっては絶好のチャンスといえるでしょう。
猟師のなり方
猟師になるには、まず狩猟免許が必要です。 その種類は4つあり、「罠猟免許」、「網猟免許」、「第1種銃猟免許」、「第2種銃猟免許」と、それぞれ方法ごとに異なる免許が用意されています。第1種銃猟免許はライフル銃や空気銃を、第2種銃猟免許は空気銃のみをあつかうことができます。
年齢制限は、罠猟免許と網猟免許は18歳以上、銃猟免許は20歳以上。なおかつ、統合失調症や躁鬱病、てんかんや知的障害、薬物中毒ではないことが条件となります。 狩猟試験は各都道府県が行います。運動試験や銃のあつかい、罠の仕掛け方などの実技にくわえ、撃ってもよい鳥獣の判別などの知識が問われます。
予備知識なしでパスすることはまず不可能なので、事前に各都道府県の猟友会が開催する予備講習を受ける必要があります。講習会では本番とまったく同じ実技や知識が学べるので、ほとんどの人が合格できます。 猟銃を使う場合には、これにくわえて銃砲等所持許可証も必要となります。
そのためには、まず警察の行う初心者講習会で筆記試験に合格しなければいけません。試験に合格すると、講習終了証明書がもらえます。 空気銃の場合は、この時点で所持可能となります。一方、ライフル銃の場合はさらに射撃実習を受けるための教習資格認定書の申請を行い、クレー射撃場で、射撃教習の実践テストを行います。
この教習修了証明書と、装弾購入のための火薬類等譲受許可証を合わせて、ようやく、ライフル銃の所持および使用が許可されます。 あとは各地の猟友会に入って、狩猟者登録を行えば猟師となります。
猟師になる魅力
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日本で猟師になるには、銃をあつかうためにさまざまなハードルを乗り越えなければいけません。そのための時間や労力を考えると、かなり大変です。 そのうえ、猟師として暮らしていくことはそれ以上に険しい道が待っています。 お金を稼ぐことが目的であれば、まったくすすめることができない職業です。
一方で、猟師として生きていくということは、ほかの仕事では絶対に味わえない貴重な人生の体験となります。自分自身の力で獲物を捕り、ときにはさばいてその生命を食べる。まさに、人間が大いなる自然のなかで生かされていることを実感できるでしょう。 職業というより、生き方として選択したい。それが猟師なのです。
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