上代(じょうだい)日本語について徹底解説!発音・単語・方言

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上代の方言ってどんなの?


出典:写真AC

1200年以上前に出来た万葉集の中には「東歌」と呼ばれる東日本の方言を使って書かれた和歌が残っています。

この頃から東と西で方言が使われ、大きく異なっていたこともわかっています。

「東歌」はすべて短歌形式で、中心は民謡、歌謡です。粗野で大胆な表現、生活的な素材、豊富な方言使用などで独自の世界をなしています。

同じく万葉集の中にある「防人歌」にも多く東国方言が用いられており、防人やその近親者が別れの悲しさや旅の苦しさを率直に詠んだ和歌が記録されています。

上代日本語と現代で使われる日本語との違い


出典:写真AC

現在の日本語は50音であるのに対して87音(あるいは88音)存在していました。

また、母音は8母音と推測され子音止まりの音節は無く、子音が連続しません

そして、撥音の「ン」や促音の「ッ」は存在していましたが無表記とされており、拗音の「ャ・ュ・ョ」で表されるような音や二重母音も存在しませんでした。

上代日本語にはhが無く、サ行もtsに遡ることから、摩擦音が無かったと推定されます。ハ行が無く、発音はパ行のように発音されていました。

上代日本語の研究に携わった本居宣長


出典:ウィキメディアコモンズ

上代日本語の上代特殊仮名遣いについては、本居宣長という人物が研究の第一人者とされています。

本居宣長は医業の傍らで、「源氏物語」や「古事記」をはじめとする日本文学の研究を行い、執筆作業まで行っていた18世紀最大の日本古典研究家と言われています。

若い頃から和歌を詠み、生まれ故郷から京都へ出てからは、医学・儒学・関学・国学等様々な分野の勉学に励んでいます。中でも1番興味があったのが日本の古典文学です。

宣長が万葉仮名を習得するきっかけとなったのが、加茂真淵(かものまぶち)の著作に感銘を受け、弟子入りをした時の指導で、万葉集の注釈を始めたことによります。

指導の通り、万葉仮名を学び、古事記の研究も同時に始めています。そして書き始めてから3~4年もの歳月を費やし、69歳の時に彼の代表作「古事記伝」が完成しています。

この古事記伝の第一巻「仮字の事」で、同じ音の中でも言葉に応じて当てる字が使い分けられているといった。万葉仮名の上代特殊仮名遣や、甲類・乙類の使い分けなどについて研究し判明したことが記されています。

また、古事記の研究を通し、日本に古くからある文学や精神を研究する方法を「国学」という学問にまとめた人物でも知られています。

上代日本語から現在の日本語へ


出典:写真AC

奈良時代もしくはそれ以前から使われていたという上代日本語は、残された文献から本居宣長を始め石塚龍磨などによって様々な法則が解明されています。

しかし現代に至っても研究は続いており、上代日本語に使われた万葉仮名は8母音説を唱える人もいれば、現代同様5母音である、3母音ではないかという説も挙げられており、その真相は定かではありません。

上代日本語を現代人が理解しようとするのは難しいですが、言葉や漢字1つ1つの使い方や季語の表し方、遊びを聞かせた漢字の読み方などを見ていると、昔の人の表現力の豊かさ・感性の豊かさがが感じられます。

上代日本語が時代の流れと共に変化し、ひらがな・カタカナが使われるようになり、今の私たちが使う日本語へと進化しています。昔の文献に触れ、日本語の起源を知り探るのも、日本人として大切なことかもしれません。

日本人なら知っておくべき!「国語」の記事一覧

こちらの本で詳しく上代日本語について学ぶことができます。

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