遠洋漁業とは、主に10トン以上の大型漁船を用い、公海や排他的経済水域と呼ばれる200海里以内の海域で、遠洋底引き網や網漁、はえ縄漁業などの漁法で比較的短い期間で約1ヶ月から1年程度の比較的長い期間に渡り、漁をすることが一般的には有名です。
200海里以内:1海里は1852mで1マイルと表記される場合もあるが、陸の1マイルと違い、こちらも1852mで計算される。200海里はおよそ370kmとなります。
最近では、カツオの一本釣りやイカ釣り漁業なども行われています。
また、遠洋漁業の歴史は、比較的浅く、江戸時代に鎖国のせいで、大型船の建造や長期間の航海ができる船の製造が禁止されたため、実質的には、明治時代以降に始まったと考える考え方が一般的だといわれています。
ただし、遠洋漁業も順風満帆に行えたかというと懐疑的な部分もあり、戦後には、アメリカのマッカーサー指令により、マッカーサーラインと呼ばれる遠洋漁業制限が行われたり、オイルショックによる燃料不足により、コストの増加から一時期、敬遠されたりした歴史もあるといわれています。
遠洋漁業で捕る主な魚の種類
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遠洋漁業では、南マグロやメバチなどのマグロ類やカツオ類が有名ですが、他にもカジキやヒラメ、マダラにホキなども対象になっています。また、日本の食卓になじみの深いアジや鯖なども遠洋漁業で水揚げされる場合もあります。
タイなどスーパーで切り身の状態で売られているスーパーの魚の確保に一役買っているといわれており、イカなどを専属に狙う漁団も存在するといわれています。
遠洋漁業の沖合漁業や沿岸漁業との違い
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沖合漁業や沿岸漁業の違いは、海岸からの距離や漁業規模の差ではないでしょうか。日本の漁業は、2006年度の農林水産省の発表によると沖合漁業44%、沿岸漁業26%、遠洋漁業9%となっており、それ以外には、養殖業21%でなりたっており、それ以降もこの値に大きな変動はありません。
そのなかでも、沿岸漁業は1名から2名程度の家族が、日帰りで行える範囲での漁が多く、全漁獲量の47%程度の約263万トンの水揚げを記録しており、日本の漁業の柱的存在といわれています。
ただし、1975年ごろをピークに漁獲量は、減少傾向にあり、今までの獲る漁から親魚から卵を取り出し、陸で孵化させ、一定の大きさになると海に放流し、その後、漁にて水揚げする所謂、循環型漁が一般的になりつつあり、小型の漁船で沿岸の魚や海藻類を水揚げしているようです。
また、沖合漁業は、船の規模が5tから10t程度の中型規模の船で行われることが多く、秋刀魚やアジ、鯖などの回遊魚を主なターゲットとしており、他にも鰯やイカなどの魚を2~3日以内に帰れる範囲で行われるケースがほとんどだといわれており、沖合漁業で獲られる魚は、日本の漁獲高の約半分になります。