日本舞踊の有名演目「京鹿子娘道成寺」
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それではここで日本舞踊で最も有名な演目のひとつ「京鹿子娘道成寺」をご紹介します。 これは、民間伝承の道成寺伝説を基とした演目です。道成寺伝説は一途な恋の叶わず、悲しみと怒りの余り大蛇に変怪し、男を焼殺するという内容です。
しかし、日本舞踊として洗練されたこの作品はその物語そのものを踊るのではなく、ひたすらに恋する女性の心を舞で表現し続けるという内容になっています。 殆どの部分を1人で舞い続けるため、高度な技術と品格を要求されます。 また、複雑な女心を舞踊で表現し切るという、日本舞踊の真髄をじっくり味わえる内容となっています。
日本舞踊の衣装や道具
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それでは日本舞踊においてはどのような衣装や道具が好まれるのでしょうか? ここでは概要として日本舞踊に使われる小道具と衣装について解説します。
①主な小道具:扇子
扇子は、日本舞踊においては最早不可分な要素であり、舞踊の一部分といっても過言ではありません。
日本舞踊で使われる扇子を舞扇とよび、要返しといった裏返しを伴う動作をゆるやかに行う為に、中に重心となる鉛のおもりが入っているものがあるのが特徴的です。
手の動きを強調し、より品格のあるものに見せる為に多様されます。
②衣装
日本舞踊で使われる衣装は、その流派等によって非常に多岐にわたります。
演目や舞台、季節等によって変化し、舞踊のきらびやかさを強調します。 ただその逆で、踊りそのものの美しさを見せる為に、「素踊り」といって衣装をつけずに紋服で踊るということも多々あります。
日本舞踊で奏でられる楽器
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冒頭で日本舞踊は音楽と共に舞踊するものと定義しました。 それでは日本舞踊ではどのような楽器を用いるのでしょうか?
①楽器の主役三味線
弾いて演奏されるいわゆる撥弦楽器の一種です。 かつては犬や猫の皮で作られたこともありますが、今は代替の素材で作られています。 日本舞踊を始め様々な日本文化の表現で使用されています。
音が非常に繊細なので、細かな心理的動きをしなやかに表現する日本舞踊との相性がいいと考えられています。
②その他の楽器 鼓、大鼓、太鼓、笛など
多彩な楽器が使われ、まるで和のオーケストレーションのようです。
加えて、これらの楽器は音楽に伴わず、今で言う「効果音」の役割を果たし、様々な自然音等を再現するのに使われ、それがまた品格のある効果を生んでいます。
奥深い日本舞踊
ここまで日本舞踊の魅力について語ってきましたが、いかがでしたでしょうか? 日本舞踊というと非常に曖昧で、遠い存在と思っていた方も少なくないのではないでしょうか?
しかし、こうしてみると日本舞踊の世界は非常に広く、様々な流派が様々な表現を発展させてきたことがわかりますね。
皆さんもこの機会に是非日本舞踊をご覧になってみてはいかがでしょうか。