焼印とは
焼印は、焼きごてとも言われ、高温に熱した金具を用い、木製品、食品、動物・ヒトの皮膚などに印を付けることができる道具のことです。 また、その行為自体を指すこともあります。 烙印や焼き判とも呼ばれ、長い歴史があります。
焼印の歴史
出典:写真AC
焼印は、英語では「ブランド(Brand)」と言います。 焼印が英語で「ブランド」と呼ばれる理由は、今日の意味で「高級ブランド」などと言われる際に使われるブランドの語源に、焼印の歴史が関わっているからです。 ブランドという言葉の成立に関して登場する焼印とは、生きた家畜などに押した焼印のことです。
昔の焼印の目的は、自身の飼う牛馬と、他者の飼う牛馬を見分けるために押されたものだったのです。 これはカウボーイなども用いていた焼印の使用方法でした。 また、ヨーロッパでは焼印は産地を見分けるための手段として、木箱や樽に対しても押されていました。
例えばスコットランドのウィスキーや、マイセンの陶器などがその例ですね。 それがいつしか、「他者との差別化」という意味を象徴する言葉となり、「ブランド」の意味が「他者との差別化」と「焼印」の両方を指す、今日的なものとなったのです。
焼印の用途
焼印の最たる用途は「名入れ」です。 自身の名前や製作者の名前、ブランド名などを、様々な物に入れるのが目的となります。 焼印を押すことによって、一段上の高級感を出すことが可能です。
饅頭、カステラ、和菓子やお菓子、パン等の食品関連、家具や木工クラフト、革、レザークラフト、革製品等の自社製品など、その対象は様々です。 最近では、釣竿や木札、剣道の竹刀や木刀にも焼印を押される場合もあり、自由な発想で楽しめることも焼印の魅力です。
焼印の製造方法
焼印は、握る部分である柄と、印面という単純な構造をした道具です。 ですが、単純な構造であるからこそ、技術がその仕上がりに直結します。
焼印にとって最も重要となる印面が職人の技術の結晶であることは今も昔も変わりありませんが、現代では高精度NC加工機で成型した上で制作するなど、最新技術を取り入れています。 印面を削り、仕上げるためには熟練の技術を要します。
焼印の押し方
焼印には大きく分けて2種類があります。 1つは、直火式です。 こちらは彫金が施された部分を直接熱する必要があるタイプです。 ガスやトーチ等の熱源で加熱し機動力、低コストに優れ、木工クラフトはもちろん和菓子、饅頭、どら焼き等に使われます。
加熱は家庭用のガスコンロやバーナーなどで可能で、はじめ火加減を決めて焼印を火で炙ります。 そして、焼印の表面が加熱により変色をしてきたら、まずサンプルなどに焼印を押してみましょう。
焼き色が薄かったり、つかなかったりした場合、まだ温度が低いので加熱をし直します。 そうして、焼き色を見ながら温度を調節しながら押すことになります。
注意点として、加熱のしすぎは絶対にしてはいけないということ。 焼印が赤くなるまで加熱すると、印面が変形したり、融けてしまったりする場合があり、焼印の寿命が低下してしまいます。
また、焼印の使用後に水をかけて冷ますなど、急激な温度変化を与えるのも避けてください。 金属疲労により変形したりヒビが入ったり、最悪の場合は割れてしまう可能性もあります。
焼印のもう1つの種類は電気式です。 こちらは、電源により焼印を加熱するタイプのものです。 温度管理が簡単で火が無くても100V電源さえあれば加熱可能で安全な作業で安心してして利用できるのがこちらのタイプの強みです。
また、直火式と異なり、温度がある程度までしか上がらないのもこちらの強みです。 具体的な使い方としては、まずスイッチを入れて焼印が温まるまで5~30分ほど待ちます。
温度が上がると焼印表面が変色するのは直火式と同じです。 そしてサンプルに押して焼き色を確認し、焼き色を見て更に加熱するか、この温度で押していくかを決めていくことになります。