井波彫刻の魅力とは|歴史や特徴、井波彫刻が味わえるスポットも

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井波彫刻とは

井波彫刻とは、富山県南砺市井波地区を中心に生産されている木彫りの工芸品です。井波彫刻が発展した背景には、1390年に建立された瑞泉寺の度重なる焼失が影響しています。

瑞泉寺が消失するたび、井波の大工が寺を再建してきたことにより、技術が向上しているのです。

瑞泉寺の再建のため、京都の本願寺から御用彫刻師が派遣されてきたことにより、井波の大工は寺社彫刻の技法を習得しました。その技法が欄間や獅子頭などの工芸品に派生し、今日に受け継がれています。

1975年には国の伝統工芸品として指定されており、200名以上の彫刻職人が在籍しています。彫刻産業としては世界的にも有数の規模を誇っており、この地から毎日聞こえてくる槌の音は、「井波の木彫りの音」として日本の音風景100選に選定されています。

井波彫刻の歴史


出展:井波彫刻協同組合

井波彫刻は、1760〜1770年代に、京都本願寺の御用彫刻師が派遣されたことで大きく変化しています。この時期に井波の大工が御用彫刻師に指示したことで、彫刻の技法を本格的に習得していきました。その後、明治初期になると一般住宅の欄間なども手掛けるようになり、彫刻を専業とする職人も現れてきました。

大正3年にはサンフランシスコ万国博覧会で、井波彫刻の書院欄間が名誉金賞を受賞しています。昭和50年に伝統的工芸品として指定を受けていますが、それまでにも大臣表彰や褒賞、叙勲を受けた名工を多く輩出しています。

その結果、井波彫刻に興味を持つ人も増えており、今なお若い年代の彫刻技術者も増えています。その結果、伝統的な技法を受け継ぐ職人、若い世代にも興味を持たれるような作品を作り出す斬新な職人など、井波彫刻の特徴が広がりつつあります。

井波彫刻の特徴


出展:井波彫刻協同組合

井波彫刻の特徴は、日常生活で用いる木工品よりも、美術工芸品が多く制作されているという点です。昔から伝統的に作られているのは、欄間や獅子頭、菅原道真像などですが、近年では若手の彫刻師が新たな試みをするようになっています。

その結果、装飾を施した楽器やアクセサリーなど、井波彫刻の技法を受け継ぎながら、全く新しい作品がどんどん登場しています。

元々寺社の再建に関わってきたこともあり、多くの寺社彫刻を手掛けています。そのため、歴史ある寺社の彫刻や欄間などは、井波の名工が政策や修理を行うことも多いです。

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