比内地鶏とは秋田県で広く飼育されている鶏の一種を指します。
赤みの強い肉はキジに似た味で、秋田の郷土料理きりたんぽ鍋には欠かせない特産品。また、比内地鶏は名古屋コーチン、薩摩地鶏と並ぶ日本三大地鶏のひとつに数えられ、噛めば噛むほど旨みの出る肉と、コクと深みのある脂が特長です。
比内地鶏は秋田特産のブランド鶏として、地元の生産者団体を中心に、厳密な飼育基準を元に飼育されています。
秋田県では比内鶏の偽装問題に対する対応策として、比内地鶏ブランド認証制度を設けています。比内地鶏として表示できるのは、素雛の種類、飼育方法、飼育期間、飼育密度に関する基準を満たしたものだけ。
秋田県が誇る特産品としての水準を保つよう、生産者と自治体が一致協力して努力を重ねています。
研究し続けた!比内地鶏の誕生秘話
出典:写真AC
比内鶏は昔から秋田県で飼育されてきた野鶏に近い種ですが、飼育が難しいことが唯一の難点でした。飼育上の難点とは、成長が遅いこと、繁殖率が悪いこと、そして病気にかかりやすいことで、この三つの問題が克服されない限り、比内鶏の肉の商品化は難しいと考えられていました。
地元秋田の畜産試験場はこれらの難点を解決するための研究を続け、その結果誕生したのが比内地鶏です。比内鶏の原種のオスとロードアイランドレッド種のメスを交配することで、淡白な肉の味とこくのある旨みはそのままに、飼育上の難点を見事克服し比内地鶏を生みました。
飼育が容易になり、生産と出荷が軌道に乗り、秋田県特産のブランド鶏として日本全国に知れ渡るようになりました。
比内鶏を改良したものが比内地鶏
出典:写真AC
比内鶏は軍鶏と地鶏を交配させて作られた原種で、秋田県で昔から飼育されてきました。
江戸時代には年貢として納められていたほど、その美味しさには定評がありました。ところが昭和初期に外来種の鶏の飼育が盛んになると、飼育が難しい比内鶏の生産が減り、一時期絶滅が危惧されるほど数が激減しました。
これを受け、国は昭和17年に比内鶏を、品種改良を加えられていない貴重な種として国の天然記念物に指定。これが比内鶏で、現在秋田ブランドとして全国に流通している比内地鶏とは異なります。
比内鶏は天然記念物には指定されたものの、秋田県の特産品として全国展開するためには、品種改良が不可欠でした。比内鶏の味を損なわず、尚且つ飼育しやすく繁殖力の強い種に改良されたのが、比内地鶏です。
比内鶏と比内地鶏の違いはここにあります。