「知人がさも素晴らしい商品のように紹介して売りつけてきた品物は、使ってみると全く役に立たないばかりか、あっという間に故障してしまった。まさに羊頭狗肉の商売だ」というようなときに使用する、「羊頭狗肉」という言葉をご存知でしょうか。
羊頭狗肉という言葉は、目にしたり耳にしたりしたことがあっても、漢字から正確な意味を推測するのが困難な四字熟語といえます。そこで、こちらでは、羊頭狗肉の意味や由来について見ていくとともに、どのような時に使えばよいのかをご紹介していきます。
羊頭狗肉の意味
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羊頭狗肉という言葉の意味は、立派なものに見せかけておいて、実際には粗末なものを売るというものです。転じて、見かけ倒しのものや人などを直接指すときにも使われます。羊頭というのは羊の頭で、立派なもののたとえとして使われています。
一方、「狗」というのは犬のことを指しており、粗末なもののたとえになっています。つまり、羊の肉のような立派なものを掲げて、さもこれを売るように見せかけながら、実際には犬の肉のような粗悪なものを売りつけるということになります。
羊頭狗肉の由来 ・言葉の背景
羊頭狗肉という言葉の由来は、中国の仏教書「無門関」から来ている故事成語です。第6則「世尊拈花」のなかで、無門という人物が「釈迦は傍若無人にふるまっており、善良な人々を貶めて、羊頭を掲げて、狗肉を売るようなものだ」と主張したくだりがあります。
無門がたとえとして出したこの言葉の、さも素晴らしいものに見せかけてつまらないものを売りつけるという意味が羊頭狗肉という四字熟語になりました。やがて、羊頭狗肉という言葉はごまかしや見かけ倒しという意味合いに変化したのです。
羊頭狗肉が使える場面
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羊頭狗肉という言葉は、当初はさも素晴らしいように見せかけて、実際の中身はつまらないという意味で使われていました。これは、品物に限らず、人物や主義主張など様々な対象に使われます。
例えば、「今年新入社員のあの女性は、上司には愛想が良くていかにも仕事をテキパキこなしているように見せかけているが、実際には同僚に面倒事を押し付けたり、陰で上司の悪口を言ったりしているそうだ。今ではその羊頭狗肉ぶりが知れ渡っており、肩身が狭くなったらしい」というように用います。
また、本来の意味が転じて、見かけ倒しという意味で用いるときには、「知人からとてもおいしいレストランだと紹介されて予約をしたけれど、量は少ないしスタッフの対応が悪く、肝心の料理も今一つだった。店構えは素晴らしかったが羊頭狗肉そのものだ」となります。