「傍若無人(ぼうじゃくぶじん)」の意味と使い方|面白い由来や類語

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【意味】 周囲に人がいるにもかかわらず、あたかも誰もいないかのように自分勝手に行動すること。
【由来】 荊軻(けいか)の酔っぱらった状態での振る舞いが、まるで傍らに誰もいないかのようなひどいものであったことから。
【類語】 「眼中無人」「得手勝手」「勝手気儘」「傲岸不遜」「放辟邪侈」
【対義語】
【英訳】

「彼の傍若無人な振る舞いに多くの人が大変迷惑している」などのように使われる「傍若無人」という四字熟語をご存知でしょうか?

ひらがなで書くと「ぼうじゃくぶじん」となります。 日常会話でも使われることが多く、周囲から「傍若無人」だと思われては大変なので、しっかりと意味を理解しておきたい言葉です。

傍若無人の意味


出典:写真AC

「傍若無人」は「傍らに人無きが若し(かたわらにひとなきがごとし)」と訓読みできることから分かるように、周囲に人がいるにもかかわらず、あたかも誰もいないかのように自分勝手に行動することを意味します。

自由気ままに行動することを意味する「自由奔放」や「天真爛漫(てんしんらんまん)」などとは違い、度を超えた自分勝手な行動で周りの人間に迷惑をかけている状態なので、明確にマイナスの意味で使われます。

傍若無人の由来 ・言葉の背景


出典:写真AC

「傍若無人」という言葉は古代中国の荊軻(けいか)という人物に由来しています。荊軻は秦の始皇帝を暗殺しようとした刺客として知られています。「傍若無人」は中国の歴史書である「史記」の「刺客列伝」に登場します。

荊軻は真面目な性格で普段はきちんとしていましたが、酒を飲むと友人の高漸離(こうぜんり)が演奏する筑に合わせて歌って騒ぎ、最後には泣くという酒乱でした。

この酔っぱらった状態での振る舞いが、まるで傍らに誰もいないかのようなひどいものであったため、さすがの友人たちも迷惑に感じて「傍らに人無きが若し」とぼやいたことが「傍若無人」の由来になっています。

本来は非難の意味を持っているわけではなく、困ったことをする人である、というニュアンスでしたが、現在では強い非難の意味を持って使われています。 ちなみに荊軻は始皇帝を追い詰めますが、あと一歩の所で暗殺に失敗して惨殺されるという非業の死を遂げています。

傍若無人の使い方


出典:写真AC

「傍若無人」は「電車内で傍若無人な振る舞いをしていた男が逮捕された」のように公共の場で常軌を逸脱した行動をして周囲に迷惑をかけている人に対して使用される言葉です。

「彼の傍若無人な態度が周囲の反感を買っている」というように乱暴に行動するだけでなく、周囲になじまない行動をする場合にも使われます。 人に対して「傍若無人」と感じるならともかく、自分が周りの人から「傍若無人」であると思われないような行動を心掛けたいものです。

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