「あながち」の意味と使い方|「必ずしも」との違い・類語・対義語

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あながちを英訳すると

出典:写真AC

ではこのあながちという言葉、英語ではどのように訳されるのでしょうか?日本固有のことばなので完全に意味をそっくりそのまま訳すことは非常に難しいものですが、似た意味の対訳としては以下のようになります。例文とその訳文とともに見ていきましょう。

not necessarily 必ずしも~ない

Tom is not necessarily wrong.

(トムは必ずしも間違ったことを言っているわけではない。)

not always   必ずしも~ない

It is not always bad meaning.

(それは必ずしも悪い意味というわけではない。)

not altogether  完全には~ない

She is not altogether stupid.

(彼女はまるっきりの馬鹿というわけでもない。)

not wholly   完全には~ない

It was not wholly your responsibility.

(これは完全に君の責任というわけでもなかった。)

いかがでしょうか?上3つの not necessarily, not always, not altogetherは日常会話で用いても違和感のない使いまわしですが、一番下のnot whollyは少し形式ばった表現です。ビジネスシーンで使うといいかもしれませんね。

いずれも、necessarilyやalwaysなど肯定を表す語を否定することで「部分否定」という否定の形をとっています。「まったく~~ない」などのような完全否定ではなく、「あながち」という言葉の厳密な意味とは少しずれてしまいますが、それに近い部分的な否定です。

時代によって変化したあながちの意味

出典:写真AC

あながちの意味は、上代日本語では「己が一番大事」というものでした。 あながちが使われ始めたころは、日本人も自己主張をすることが良しとされる文化であったと考えられます。

確かに、平安時代の貴族社会では如何に自分が出世していくかが重要でしたので、思っていることはどんどん言わなければならなかったのかもしれません。

それが時代を追うにつれて、現代のやんわりとした意味に変化していきます。 自分自身ではなく、家や組織を大事にするという考えが、主に武士の時代に醸成されたのでしょう。

この「あながち」という言葉の意味を一つとってみても、日本人の考え方が変化してきていることが伺えます。

現代では、目下の人が目上の人に「あながち」という言葉を使うのは良くないとされています。 相手の立場と自分の立場をわきまえるという思想が、「あながち」から垣間見えますね。

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