「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」の意味や言葉の背景|例文も紹介

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「あの会社は全くもって慇懃無礼だ」、「○○さんってちょっと慇懃無礼で何だか付き合いにくいよね」なんて言葉を聞いたことはありませんか? 慇懃無礼とは、あまり良くない意味を持つ言葉なのです。

皆さんは慇懃無礼をどんな場面で、どういった相手に使うかご存知ですか? 知らないで使ってしまい、相手を嫌な気持ちにさせないように、これから解説する慇懃無礼の意味や言葉の背景などから言葉の本当の意味を学びましょう。

慇懃無礼の意味


出典:写真AC

慇懃無礼(いんぎんぶれい)とは一言でいうと、丁寧すぎるあまりそれが逆に嫌味な態度になっているという意味を持つ言葉です。 あまり良い意味を持たない言葉で、もしも誰かから「慇懃無礼ですね」と言われたなら、相手に悪い誤解を与えていることになります。

就職、転職の面接を受けた会社からやけに丁寧な不採用通知を貰ったとき、クレームを入れたら定型文のような返答をされたとき、嫌な気分になったことがある人もいるでしょう。

相手は礼儀正しく接しているつもりでも、心がこもっておらず表面上だけ丁寧な対応をされると、人は「馬鹿にされた」と思ってしまうのです。

よくあるのが敬語で、こちらが「~させていただきます」など丁寧な言葉遣いをしても、やりすぎると慇懃無礼だと誤解をされるのでしょう。 

慇懃無礼の由来 ・言葉の背景


出典:写真AC

慇懃無礼(いんぎんぶれい)の慇懃(いんぎん)は、礼儀正しい態度であるという意味です。 例えば文章にすると「上司は慇懃に挨拶を済ませた」や、「社長からはいつも慇懃な態度であるように注意されている」といったものになります。

一方で無礼(ぶれい)は礼儀がないという意味で、慇懃とは正反対の意味を持つ言葉です。 「全く、今年入ってきた新人は無礼な者ばかりだ」、「あの人はなんて無礼な態度なんだろう」といったような使い方をします。

礼儀正しい態度という意味をもつ言葉(慇懃)と、礼儀を欠いているという意味をもつ言葉(無礼)が1つになったのが慇懃無礼です。

つまり慇懃無礼とは、「本人は礼儀正しくしているつもりでも、傍からみるとその態度がやけにこちらを見下しているように見える」という言葉となります。 或いは、「わざとへりくだって丁寧に接することで、表面上では相手を立てつつも、心の中では相手を見下している」という言葉なのです。

慇懃無礼の例文を紹介


出典:写真AC

慇懃無礼は以下のような場面で使うことができます。

・相手からとても丁寧な対応をされたが、心がこもった態度ではないと感じた時

・相手のことを見下しているが、それを周りに悟られないようわざと丁寧な態度を取ったとき

・本人は心を込めた丁寧な対応をしたつもりでも、へりくだりすぎて相手に誤解を与えてしまったとき

1つ目の場合は、企業から定型文のような返ししかされなかった時に使うことが多いでしょう。 「○○社に問い合わせをしても、いつも慇懃無礼な態度で不快に感じる」というものです。

2つ目の場合は、わざと相手を怒らせたいときに使うことが多いと考えられます。 「クレームの多いお客さんにはわざと慇懃無礼な態度で対応しよう」などです。

3つ目の場合は、本人にはそのつもりがなくあくまで丁寧に接していても、受け取り手によっては無礼に見えるという時に使います。 「○○さんは慇懃無礼だが、こちらとしてはその態度が嫌味に思えて仕方ない」といったものです。

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