紫陽花とは
紫陽花は、5月から7月にかけて花を咲かせる低木です。様々なアジサイ属の植物を纏めて、「アジサイ」と呼ぶこともあります。 赤や青のカラフルな小さな花が集まり咲く姿には、独特の味わいがあります。
あまり知られていませんが、この私たちが花と思っている部分は実は萼(がく)です。よく観察すると、その中に囲まれ、さらに小さな花が集まっているのが分かります。 この萼のことを、装飾花といいます。
紫陽花は装飾花の付き方で2つの種類に分けられ、球状に丸く膨らんだものを「手まり咲き」、平らに花を円状に囲むものを「額咲き」といいます。 手まり咲きの紫陽花はセイヨウアジサイといい、元々は日本が原産地のホンアジサイでした。それがヨーロッパに持ち込まれ、観賞用に品種改良されて逆輸入されたものです。
一方、額咲きのものはガクアジサイといい、関東地方の海岸に多く見られる品種です。
紫陽花の花の色が変色する理由は?
出典:写真AC
紫陽花は、育った土壌によって異なる色の花を咲かせます。 そのポイントとなるのが、土壌のphです。 紫陽花に含まれるアントシアニンという色素には、アルミニウムのイオンが加わることで青色に変化する性質があります。酸性の土壌ではアルミニウムがイオンとなって土中に溶け、紫陽花の花も青色に染まります。
このような理由から、酸性の強い日本の土壌では青系統の紫陽花が、アルカリ性の強いヨーロッパ地域の土壌では赤系統の紫陽花が多く見られます。 日本でも、酸性の肥料やアルミニウムを含むミョウバンを与えることで、簡単に青い花を育てることができます。
また、紫陽花の花は時間が経つにつれ、最初のクリーム色から青、そして赤へと変色していく性質もあります。 それを指して、「七変化」や「八仙花」という別名もあります。
紫陽花の花言葉
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紫陽花には、様々な花言葉があります。 その中でも代表的なのが、「移り気」でしょう。 これは、条件によって花の色が変化しやすい性質を表している花言葉です。浮気を連想させてしまうため、以前は結婚式などの贈り物としては好まれていませんでした。
一方、小さな花がたくさん集まって咲くことから、「結びつき」や「一家団欒」といったポジティブな花言葉も持っています。 最近では、こちらの意味合いを強調して、お祝いごとにもよく利用されるようになりました。
また、日本原産のガクアジサイには、「謙虚」という花言葉もあります。セイヨウアジサイほど派手ではないものの、慎ましやかな美しさをよく言い表した花言葉となっています。
青色の紫陽花の花言葉
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青い紫陽花には、「あなたは美しいが冷たい」という花言葉があります。 元々青い花というのは自然界では珍しく、綺麗でありながらどこか人工的でよそよそしい、といったイメージがあるようです。
その一方、青い紫陽花には「辛抱強い愛」という花言葉もあります。 装飾花は本来は萼なので、他の花よりも長い期間、その新鮮な色を保つことができます。梅雨の雨に打たれながら、その美しさを絶やさずにいる。そんな健気なイメージを指した花言葉と考えられます。
他にも、江戸時代に来日したドイツ人医師のシーボルトにまつわる由来も伝わっています。シーボルトは当時、新種と思われた紫陽花に「Hydrangea otaksa」と学名をつけました。この名前は、彼の日本人の妻である楠本滝から取ったといいます。
しかし、シーボルトは後に国外追放され、二人は遠い海を隔ててお互いを想うだけの間柄となってしまいました。 そんな少し哀しいエピソードも、この花言葉に影響しているといわれています。