能楽師の仕事を紹介|気になるなり方や将来性は?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

能楽師に向いている人、向いてない人

能楽師はとても門戸が狭く、たとえプロになっても成功するのはほんのひとにぎりです。

そのためには、毎日の厳しい鍛錬も欠かせません。これを耐え抜くには、大前提として能楽のことがとにかく好きだ、という強い想いが必要です。

また、能楽は舞台演劇や歌舞伎のように、同じ公演を何日にもわたって続けることはありません。つねに違う演目をこなしていくことになるので、切り替えの速さや対応力も脂質として必要です。

シテ方になると、共演者や劇場の手配なども自分で行うことになります。

ただ演じるだけではなく、マネジメント能力がある人にも向いています。 何より、古典芸能はとても特殊な世界です。

その独特の慣習やしきりになじめないようなタイプの人は、最初から向いていないといえるでしょう。

能楽師の将来性


出典:写真AC

能楽はユネスコの無形文化遺産に登録されるほど、確固とした地位を持つ日本の文化です。 しかし、歌舞伎のような企業のバックアップや、文楽のような国からの補助も受けていません。 また、若い層にはなじみが薄く、観客層も高齢化しているのが実情です。

そのような現状を打破するために、最近ではタブレットによる解説システムを導入するなど、新しい動きも見られています。外国語への翻訳も行い、若年層だけではなく、海外からの観光客の獲得にも力を入れています。

また、ひとつの演目を数日に渡って催すなど、これまでの伝統を変えることも検討されています。

このような業界は、この世界に飛び込もうという人にとっても、風通しの良い、やりがいある職場だといえるでしょう。 特に人材不足の今は、新人にとってチャンスのある状況だといえます。

能楽師になるには

能楽師になるために必要な資格はありません。

ただし、能楽師の多くは、もともと能楽師の家に生まれた人が跡を継いでいます。 幼いころから英才教育を受け、流派の宗家に内弟子となって修行にはげみ、そこで実力を認められてプロの能楽師となる。これが、基本的な進路です。

それ以外の一般人が能楽師を目指すにはどうすればよいのでしょうか。

まず、シテ方になるには、職分という資格を持つ師匠に弟子入りしなければいけません。そこで準職分となり、専業として修行に打ち込みます。 ただし、観世流では家元で修行できるのは職分の子息だけなので、それ以外は師範として鍛錬を行います。

師範については、兼業も認められています。 シテ方以外は、国立能楽堂の研修生になる方法もあります。国からの補助を受け、6年間の研修を受けプロを目指します。ただし、中学生以上から25歳未満という年齢制限があるので、早めの決断が必要です。

ほかにも、大阪や京都にも能楽養成会があります。 カルチャースクールのように教室を開いている一門や、法政大学や東京成徳大学、武蔵野大学のように能楽を学べる大学もあるので、まずはそこから始めるのもよいでしょう。

能楽師になる魅力


出典:写真AC

能楽師は、修行時代からプロを通じて、大変な苦労の連続です。厳しい修行や稽古は一日も欠かせず、芸の上達に終わりはありません。

業界自体も、これまでに何度も存亡を危ぶまれながら、時代の波をくぐり抜けてきました。 それでも650年の時を経て現代にまで伝わっているのは、多くの能楽を愛する人が、それを大切に受け継いできたからです。

能楽師の最大の魅力は、まさにここにあります。 能楽を見て、自分自身もこの舞台に立ちたい。伝統を受け継いでいきたい。心の底からそう思った人は、ぜひ失敗を恐れずにチャレンジしてみてください。

職人の仕事がつまった、職人図鑑はこちら

  • このエントリーをはてなブックマークに追加