岸和田だんじりとは、大阪府岸和田市の岸城神社と岸和田天神宮で行われるお祭りです。お祭りでは、だんじりを引き回し、街中を練り歩きます。だんじりは屋台のことで、祈りを捧げために使われる山車のことです。早い速度で角を曲がる「やりまわし」が、岸和田だんじりの魅力です。
4トンを超える山車が、急な角を曲がる様が見物客を盛り上げます。お祭りは、大例祭と呼ばれ、最も重要なお祭りとして、岸城神社と岸和田天神宮の2カ所で、開かれます。開催は、9月と10月の2回です。9月は敬老の日が訪れる前の週末、9月15日と16日に開かれます。10月は、6日と7日が開催日です。
土曜日は、岸和田駅の前で盛大なパレード(岸和田駅前)が催され、日曜日には神社へと戻る宮入りが行われます。宮入りは神社ごとに定められた順番によって戻る決まりです。
ただし、春木地区だけは岸城神社と岸和田天神に宮入りを行わず、弥栄神社に戻ります。
岸和田だんじりの起源
出典:写真AC
城下町のひとつ・北町に住む茶屋新右衛門が、上方で開かれていたお祭りに感激して、町内でも同じようなお祭りを開きたいと、申し出たことが始まりです。茶屋新右衛門は60人の町人と相談をし、奉行所にお願いを申し出ました。すると当時の岸和田藩藩主・岡部長著が許可したのです。
藩主からは、祭礼に使うための亀甲の紋が入った小さい幟や、大きな幟、枠に入った太鼓の台をいただいたと、されています。茶屋新右衛門たちは、亀甲の紋が入った提灯をこしらえて、お祭りが始まる前の夜と、お祭りの当日に、家のまえに提灯を建てました。
岸和田だんじりで見かける御神灯は、この提灯が起源だと、伝えられています。 そのほかに伝えられている説によれば、岸和田藩の3代藩主・岡部長泰が、京都伏見稲荷を城へ移して祀り、豊作祈願をしたことが始まりとされています。
岸和田だんじりの魅力・特色
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岸和田だんじりの魅力は、勇壮に町中を駆ける「やりまわし」や、山車の大屋根に立つ大工方の踊り、4つのリズムで叩かれる太鼓、独特の掛け声にあります。
祭りに参加する人たちは、住む場所ごとに違った法被をまとい、股引や、腹掛け・腹当て、ちゃんちゃんこ、地下足袋、ハチマキなどの衣装に身を包みます。また、見物人を楽しませための出店も岸和田だんじりの特色といえます。
家庭では、大阪湾で採れるワタリガニを蒸した物や、大豆の餡で餅を包んだ「くるみ餅」、おでん、などを訪れた親戚などに振る舞います。岸和田だんじりの別名は、がに祭りと呼ばれます。身が引き締まったワタリガニを、訪れたお客に提供したことから、岸和田だんじりは、がに祭りの名でも呼ばれています。
岸和田だんじり祭・やりまわし
やりまわしとは、早い速度を保ったまま、山車が角を曲がることです。岸和田だんじりでは、決められたコースを山車が回り、見物人を盛り上げます。やりまわしには、山車を引く人と指示を出すとの呼吸を合わせることが重要です。
前梃子が山車の進む方向を決め、山車の前に座る人が速度を調整して、ブレーキ役を担います。山車の後ろでは、後梃子と呼ばれる長い棒と綱を引く人たちへ、山車のうえに立つ大工方が指示を出します。山車を引っ張る綱元が速度を上げて、角に侵入します。
前梃子とブレーキ役が曲がるきっかけを作り、後梃子を引くことで、ダイナミックなやりまわしが実現します。やりまわしをまじかで見たい方は、カンカン広場の観覧席や、こなから坂を上って岸和田城に入る交差点がおすすめです。早い速度で曲がるやりまわしを見たい方は、カンカン広場を選びましょう。
やりまわしと宮入りを観たいたい方は、2日目のこなから坂が見物に適した場所です。混雑を避けやりまわしを見物したい方は、春木地区のだんじりがおすすめします。春木駅とラパーク岸和田の角や、ウサギやから来た山車が曲がるハッピー前の角、祭礼年番本部が置かれた交差点などで、やりまわしを見物してみましょう。