花だけでなく空間としての芸術、生け花とは?
生け花は、華道ともいわれるたしなみです。花を生けると聞くと難しそうに感じるかもしれません。しかし、花を生ける上では、自分自身が花に真剣に向かいあえば、そこまで難しいことではありません。
生け花は植物のみ、あるいは植物を中心とした材料とを組み合わせて構成する芸術を指します。また、流派によって様式や技法はかなり異なってきます。生け花の代表的な流派は、池坊や五十鈴古流、伊勢草木藤野流などの流派があり、30以上もの流派が存在します。
海外のフラワーアレンジメントと異なるのは、鑑賞の為に見る方向を正面と定めている流派が多く、二次元で見るための技法に秀でている点が挙げられます。
そしてもう一つ異なるのが鮮やかな花のみを生けるのではなく、枝の伸び具合や葉、苔といった全ての植物が持つ形態や特徴によって構成された空間全体を鑑賞する為の表現方法として、生け花という技法が存在しているという点なのです。
仏教がきっかけ?生け花はここから始まった!生け花の歴史を紹介
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生け花の起源は遥か昔、六世紀頃に伝来された仏教がきっかけとされています。仏教は元々花と深い関係にある宗教で、仏教に関連する「法華経」等、仏教で使われる言葉にも華という字が多く含まれている点からも、関連性が多く見られます。
伝えられた仏教の教えの中には仏に対して花を供えるという行為も含まれており、人々は仏に花を供える文化を持つようになります。
そして室町時代になると、花を挿す道具が大陸から輸入され、権力者の邸宅では花を座敷に飾るという行為を始めました。この花を愛でるために飾るという文化を芸術として昇華したのが、六角堂の僧侶である池坊専慶なのです。
池坊は日本の代表的な華道の家元であり、生け花の根源とされます。紫雲山頂法寺、通称六角寺という、京都にある寺の住職が家元を兼ねています。
これは池坊の僧侶は執行、僧侶の務めとして、六角寺の本尊如意輪観音に花を供えることとなっており、文献「碧山日録」では寛政三年から既に行われていたとされてます。
およそ九十年後の天文十一年には生け花の花伝書である「池坊専応口伝」を著し、技術を体現化しました。その後専好の二代によって生け花の基本的な形である立花が大成され、より簡略された生花、自由化と三つの様式をまとめて現在に至ります。
池坊の生け花特徴はこの立花、生花、自由花と呼ばれる三つの様式を持っている点です。立花は最も古い歴史を持った様式で、多種多様の草木で大自然を表現したものになります。
生け花は一種類から三種類までの花材によって草木が地に根を張る様子を表現したものです。そして自由花は草木の質感や形状を活かした、自由に幅広い表現でいけていく様式です。
生け花の要!生け花で使う道具を紹介
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生け花で使う道具には花材、花器、鋏、剣山があります。花材は生け花用語で、花卉(かき)材料の略語です。これはメインとなる植物、中でも草や木を指す言葉です。花器は花を生けるための容器で、はないけとも言います。
鋏はきょうといいますが、洋式のものではなく握り鋏と言われる和鋏を使い、生けた植物を切るために必要です。剣山は花留めともいい、花が動かないように固定するための道具です。ここに植物の茎を生けていくことになります。
生け花の関門、花材の取り合わせ
花材の取り合わせは色、質感、形、大きさ、生育環境、季節と多くの状態から考慮して決定されています。さらに様式からも組み合わせが異なってくるため、深い経験と知識が求められる部分です。
特に流派によって定められている花材も存在するため、無闇やたらに組み合わせても構わないというものでは無いのです。
花材の主要なものとして藻や海藻、苔などの草や木などの植物が使われます。花材には木物・草物・葉物・蔓物・垂物・実物・花物・枯物などの区別があります。