【日本独自の様式美】『華道』の奥深い世界を紹介

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華道とは

生け花ともいわれる華道は、植物を中心とした素材で独自の世界観などを表現する芸術です。

欧米にも同様の文化は存在しますが、どこから鑑賞しても同じように見えることを目的とし、統一感に重点を置いた欧米のフラワーアレンジメントとは一線を引いた、日本独自の様式美を重視している点が特徴だといえます。

現在日本国内には池坊(いけのぼう)や草月(そうげつ)に代表される流派が数多く存在し、その数は45流派にも上ります。 かつて華道は茶道と共に多くの武将や上流階級の人間のたしなみの1つでしたが、江戸時代中期から後期には庶民にも広まりました。

華道の歴史


出典:写真AC

華道の源流には諸説ありますが、古くからの常緑樹信仰の流れで門松などのように依り代としての信仰や、仏教の伝来により仏さまに花を供えるための供花などがもとになったなどと言われています。

また、季節の変化や植物の特性に神秘を感じ、その神秘を花器の上で統括的に管理しようとした試みだとも言われています。

華道の文化は室町時代中期に京都の六角堂の僧侶によって確立されたという説が有力です。 僧侶は代々池のほとりに居住していたことから池坊と呼ばれ、のちの流派の名前となっていきました。

その後、大陸からもたらされた唐物の器に花を挿す形や姿が工夫されていくなかで、日本独自の文化である「華道」が成立していきました。

華道の基礎


出典:写真AC

華道の世界は「以和為貴」(和をもって貴しとなす)という精神の基に成り立っています。 花器をはじめ、生けられる花や植物などの全ての存在で1つの世界が創り上げられているということです。

メインの大きな花を象徴的に飾る西洋のフラワーアレンジメントとは真逆で、生け花の小さな空間の中に自然の生命を表現しています。

華道では「真」「副」「体」の3点をバランスよく配置します。 中心となる枝物の花のことを「真」といい、中央に据え、この花に添える草花を「副」といい3分の2ほど低い高さに生けます。

また、「副」に対するものとして「体」の花は半分ほど低い高さに生けます。このように日本独特の様式美を表現するのが華道の基本です。

華道の道具


出典:写真AC

華道の道具と言えば、枝を切るはさみ、枝を挿して飾るための花留(剣山や吸水性スポンジ)、花を生ける花器が基本の3点セットとなります。

まずはさみですが、花ばさみという華道用のものを使用します。 固い枝でも切りやすいように工夫されており、ずっしりとした重さがあります。

使い方にコツがいるので、華道は最初に花ばさみの使い方を覚えるところから始まります。

次に花留ですが、これは花を生ける時に枝を差し込んでいく金属の針が何本も突き出している剣山や、花器の形に合わせてカットして使うスポンジのことです。 剣山には丸型、四角形、三日月形などいろいろな形があります。

最後に花を生ける花器ですが、この花器も生け花の一部となりますので好みの形のものを用意するとよいでしょう。

華道の資格


出典:写真AC

華道の資格は流派によって様々な呼称が使われています。

それぞれどの流派でも取得にかかる年数などは大差ないようですが、教えることができる資格だけでもかなりたくさんの資格があります。

また、教えることができる最低ラインの資格と最高ラインの資格とでは15年以上のキャリアの開きがあると言われています。 一般的には教室を開ける資格を得るのには約10年が必要と言われています。

また上位の資格になると年齢制限が設けられている場合もあります。 上位の資格まで取ろうと思ったらキリがなくなってきますので、自分が何をやりたいかを考えてどの資格取得を目指すのかを考えるのが一般的だと言えます。

華道は気軽に楽しめる伝統的な芸術

日本人は古くから日常的に花や草木などの植物と関わって生きてきました。 植物には疲れた心を癒してくれる不思議な力があります。

また、華道は歴史的にも代々受け継がれてきた日本の伝統文化でもあります。 家の中の空間に目を楽しませてくれる植物があるだけで、生活にゆとりを感じることができます。

気分次第で生ける花や生け方を変えてみれば簡単に違った雰囲気も楽しむことができます。

日常的な生活の中で心に潤いをもたらすことができる華道は、誰しもが気軽に楽しむことができる芸術なのではないでしょうか。

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