「A社とは一衣帯水の関係、相手が困っているなら協力するべきだ」というように、小説や演説中では一衣帯水という言葉を使うことが多々あります。
普段は滅多に聞くことのない一衣帯水とは一体どのような意味を持つ言葉なのか、由来や類語、対義語も併せてご紹介します。 不意に上司などから「一衣帯水」という言葉を聞いたときに「それってどういう意味?」とならないよう、しっかり学んでおきましょう。
一衣帯水の意味
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一衣帯水(いちいたいすい)とは、まるで1枚の帯のようにとても細くそして長い川、あるいは海峡のことです。 一は1つの、衣帯は着物の帯のことで、水とはこの言葉では長い川や海のことを指します。
例えばA村とB村の間には、細くそして長々と続く川があるとしましょう。 それはちょっとジャンプするとすぐにお隣の村へと行けるくらいに細い川です。 細い川(あるいはちょっとしたこと)が隔たりとなっているだけで、そのくらいA村とB村は近接している、深い関係にあるという意味を持つ言葉なのです。
一衣帯水の由来/言葉の背景/語源
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一衣帯水という言葉がどこから生まれたのか、それは李延寿の南史陳後主紀のある文が由来となっているともいわれています。
それは「我為百姓父母、豈可限一衣帯水、不拯之乎」という文章です。 これを簡単に現代語訳にすると、「私は民衆のトップに立つ存在。揚子江という隔たりを理由として民を救わないなんて決めてはいけない」となります。
陳の君主がとても悪い政治を行ったことで、そこに住む人々は苦しめられていました。 そうした状況を見た隣の国の文帝が「困った人を助けたい」という気持ちから「我為百姓父母、豈可限一衣帯水、不拯之乎」と発し、陳を成敗したのです。
つまり一衣帯水とは、物理的な距離は近く、その両者の間には隔たりがあるという言葉といえます。 「日本と○○(他の国)は一衣帯水、これからは協力関係にならなければならない」など、国と国の関係を表す言葉としても用いられることがあるでしょう。
一衣帯水の例文を紹介
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一衣帯水は以下のようなときに使用します。
・A国にとってB国は一衣帯水の隣国、それなのにどうしていつも争っているのでしょう。
・A社と弊社は一衣帯水、困ったときはお互いさまです。
・我々は一衣帯水であるということを胸に、これからもより会社を盛り上げていかなければなりません。
一衣帯水は日常会話で使うよりも、演説などで用いられることが多いでしょう。 ちょっと難しい言葉のように聞こえますが、要は「AとBは近くて深い縁をもつ者同士ですよ」ということです。
住んでいる場所が違ったり、役職が違ったりもするけれど、あなたと私はとても密接した関係にありますよ、ということを表す言葉なのです。