【粋】知っておきたい言葉の意味、背景や使い方|例文も紹介

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「粋な黒塀、見越しの松に」から始まるのは、1955年の流行歌「お富さん」です。春日八郎のヒット曲として、当時は子供まで盛んに歌ったと言います。歌舞伎の「切られ与三郎」を歌に変えたものです。

「四角四面は豆腐屋の娘 色は白いが水くさい 四谷・赤坂・麹町 チャラチャラ流れるお茶の水 粋な姐ちゃん立小便」。こちらは、日本最長のシリーズ映画、「男はつらいよ」(通称・寅さん)において、主人公寅さんのテキヤの啖呵です。

少々古いですがこの二つの例には、「粋」(いき)という言葉が使われています。なんとなく理解していると思いますが、その意味は把握できていますか?

粋の意味


出典:写真AC

「粋」を「いき」と読むこと、これは江戸っ子の専売特許のようなところがあります。同じ言葉を「すい」と読みますと、途端に上方の雰囲気が出ます。

では、江戸っ子のいう「いき」とはなんでしょうか。これは美意識を指す用語ですから、意味は複合的、多面的で、とてもひと口には言えません。

ですが、「洗練」「カッコのよさ」「垢ぬけ」「色気」「誰もが憧れる」というニュアンスは、どんな使い方をしても間違いなくそこに含まれています。特に男女の仲についてよくわかっている人は「粋」だと言われます。

粋の由来・言葉の背景

「いき」はもともと「意気地」「心意気」などに使う「意気」です。そこに「純粋」の「粋」が当てはめられていました。江戸っ子の理念的な理想を指し示す、便利な言葉だといえます。

「いき」の理念を共通認識として持っていない人がいれば、それは江戸っ子の恥晒しなのです。

粋の使い方


出典:写真AC

遊びの上手い江戸っ子は、間違いなく「粋だねえ」と言われたはずです。遊びが上手いとは、男女の機微をわかっていて、しかしながら物事にこだわらない様を言います。女性にしつこく迫るような江戸っ子では「粋」だと言ってはもらえなかったでしょう。

古典落語の「錦の袈裟」には、町内の若い衆が揃って吉原(遊郭)に繰り出し、一斉に揃いの錦のふんどしを見せて踊ってやろうとする場面があります。

これは江戸っ子の美意識からすると粋の際たるものだったでしょう。下半身を覆うふんどしにわざわざ錦を使うところが粋なのです。

粋の類語・対義語

粋の類義語は「いなせ」です。粋と同じく、多義的で、その使い分けも単純でない言葉です。「いなせなおあにいさん」などと、特に職人や侠客(ヤクザ)など、アウトローなにおいもする人に対しての褒め言葉として使われました。

粋の対義語は、ワンセットでよく使いますので目にすることが多いでしょう。「野暮」です。「いき」でなければすなわち「やぼ」ということになります。江戸っ子からすると、田舎から出てきた人間は、侍も町人もみな野暮でした。

粋を英語で説明


出典:写真AC

「粋」自体が難しい言葉なので、英語にする場合は意味を訳さざるを得ません。その恰好に着目するなら、stylishやrefined、chicとなります。態度に着目するなら、smart、niftyでしょう。人に着目するなら、男性の場合dandyという単語が「粋な人」というイメージに近いと思われます。

He is a man of the world.

彼は粋な人だ。

As a new awareness of bonsai has grown as it has become a stylish hobby among young people.

若者の間でも、盆栽が粋な趣味として再認識されるようになってきている。

粋から学ぶ

粋というのは、わかっている人には説明のいらない言葉です。文化の爛熟した江戸後期において、江戸っ子たちは「いき」をキーワードに生活スタイルや遊びの質をどんどん高めていきました。

粋には「反抗」のニュアンスも含まれますが、だからといって反体制のシンボルだったわけではありません。粋な侍であれば憧れたのです。

江戸っ子のこの美意識は、現代にも消えずに脈々と受け継がれています。現代でも、先祖と同じ美意識を持つことで、彼らの意気込みを伝えていくことができます。私たちも粋な生き方をしたいものですね。

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