岡山旅行で必ず訪れたいのが、倉敷市中心部に位置する「倉敷美観地区」。倉敷川沿いに建ち並ぶ白壁の屋敷がうつくしく、国内外からたくさんの観光客が訪れるスポットです。地区内には、倉敷のシンボルともなっている大原美術館をはじめ、伝統工芸のギャラリーやショップ、カフェなどが点在しています。今回は、その賑やかな街並みにひっそりと佇む、「倉敷民藝館」をご紹介します。
倉敷民藝館のはじまり
東京の日本民藝館につづき、日本で二番目に建てられたという倉敷民藝館。館内に展示されるたくさんの貴重なアイテムを通して、日本の伝統工芸や手仕事、またその歴史にふれることができます。倉敷出身の実業家で大原美術館の創設者でもある大原孫三郎は、民藝運動の理解者でもあったのだとか。その意志は息子の總一郎にも受け継がれ、昭和23年に倉敷民藝館が開館しました。
暮らしのための道具、手仕事の美
江戸時代後期の米倉を改装した建物は、天災や盗難などから展示品を守るため、丈夫なつくりになっています。初代館長 の外村吉之介が世界中から集めた民藝品を1万5千点以上所蔵しており、館内では、そのコレクションのなかから千点ほどを展示しているそう。テーマは「衣食住のあらゆる部門で働く美しい生活用具」。ジャンルは、陶磁器、ガラス、石工品、染織品、木工品、漆器、金工品など多岐にわたります。
現代では、「手仕事」と聞いてパッと思いつくものに、わら細工やかご編み、木工品などを挙げる人も多いことと思います。筆者自身も、日常生活のなかで、手編みのかごやざるを愛用しているひとりです。実用的なかごバッグに大小さまざまのほうき、可愛らしい装飾品…。館内の「かごの部屋」には、ぬくもりあふれる素朴なアイテムがずらり。まるで雑貨屋さんにいるような気持ちで、うっとりと眺めてしまいます。
空間やしつらえを、生活のヒントに
いくつかの棟と部屋に分かれた館内は一見こぢんまりとしていますが、じっくり見てまわるとすぐに時間がたってしまいそう。民藝品だけでなく、展示用の棚やインテリア、建物のつくりなど、空間自体も味わい深いものになっています。倉敷を代表する伝統工芸、倉敷ガラスのコーナーも見どころのひとつ。今も昔も変わらない、普遍的な「手仕事の美」にふれることで、ふだんの生活空間をより豊かなものに変える大切なヒントが得られるかもしれません。
終わりに
倉敷民藝館では、随時企画展を開催しており、何度訪れても楽しめます。詳しい内容は、公式サイトに記載されていますので、チェックしてみてくださいね。また、出入り口のあたりには小さなミュージアムショップがあり、倉敷ガラスや焼きもの、布製品などおみやげに持ち帰りたくなるものがいっぱい。鑑賞を楽しんだ後は、ぜひ立ち寄ってみて。