木綿豆腐の特徴・歴史
木綿豆腐は、木綿のざらつきが豆腐に残っている点が特徴的です。食感は滑らかで、きめ細かい絹ごし豆腐に比べてしっかりとした食べごたえがあります。舌触りは木綿独特のざらつきを感じられる面もあれば、つるっとした滑らかな面もあります。
木綿豆腐の味わいは濃厚で、絹ごし豆腐と違って崩れにくいため、油で揚げたり焼いたり、煮たりと様々な調理法が楽しめます。大豆の風味は感じられますが、豆腐自体には塩味がほとんどありませんので、和食や洋食、中華でも味の邪魔をしない食材です。
歴史は絹ごし豆腐よりも古く、中国から豆腐が日本に伝わりました。江戸時代初期にはまだ、木綿豆腐だけが使われておりました。しかし、江戸時代中期になり、庶民の間にも豆腐が流通するようになると、より滑らかな舌触りを求めて絹ごし豆腐が生まれたのです。
木綿豆腐の栄養価
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豆腐は栄養価が高いといわれていますが、木綿豆腐と絹ごし豆腐では若干違いがあります。
豆腐に共通して言えるのは、良質のたんぱく質です。木綿豆腐は水分を絞って大豆の栄養素を凝縮しているため、たんぱく質以外にもカルシウムや鉄分などが絹ごし豆腐の2~3倍多く含まれています。
一方、絹ごし豆腐は水分を絞らずに製造しているため、水溶性の栄養素であるビタミンB群やカリウムなどがそのまま残っています。そのため、単に食感が違うというだけでなく、多めに摂取したい栄養素によって豆腐を使い分けるのがお勧めです。
木綿豆腐の作り方
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木綿豆腐の作り方は、豆乳作りから始まります。
水に浸して大豆を柔らかくし、すりつぶしたものをこして豆乳にします。そこに、にがりを加えてある程度固め、穴の開いた箱の内側に木綿の布を敷き、流し込みます。
そして、上から重石をして水分を切りながら固めます。いったん崩したうえで再度圧縮して固めると、木綿豆腐が完成します。このようにかなりの圧力をかけて豆腐の水分を切る際に、箱型の木綿の布目が豆腐についているため、木綿豆腐と呼ばれるのです。
一方、絹ごし豆腐はにがりを入れず、豆乳を水が抜けない箱型に流しいれ、凝固剤を入れて固めます。製造工程で絹を使ったから絹ごしというわけではなく、舌触りが滑らかなことから、「木綿」に対して「絹」という文字がつく名前になったのです。
木綿豆腐を使った郷土料理の紹介
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木綿豆腐を使った郷土料理は、全国各地に見られます。例えば、鳥取県の”どんどろけ飯”は、豆腐などを炒める音が雷鳴のように聞こえるため、この名がつきました。
水を切った木綿豆腐を適当な大きさに砕いて油で炒め、鶏肉やニンジン、ゴボウ、油揚げなどを加えます。炊飯器にい研いだ米を入れ、炒めた具材を加えて醤油や砂糖、だし汁などで味付けをして炊き上げたら完成です。
また、鹿児島などでおやつとして好まれている”がね”は、ほのかに甘い味付けが子供にも人気です。根菜類やじゃこなど、地方によって加える具材も異なってきますが、ベースはさつまいもと木綿豆腐です。
作り方は簡単で、さつまいもに崩した木綿豆腐を加え、甘く味付けしたかき揚げの衣にくぐらせて油で揚げます。豆腐の食感がふんわりとした食感のかき揚げにしてくれます。
木綿豆腐の魅力
木綿豆腐は、低カロリー高タンパクで、ダイエット中の女性でも安心して食べられます。豆腐自体が大豆の優しい甘みやふんわりした食感で食べやすく、調理次第で飽きないという点も魅力です。
また、柔らかすぎて冷奴や鍋など、食べ方がある程度制限される絹ごし豆腐に比べ、硬さを活かした調理や触感を活用した料理などに挑戦できる点もおすすめです。
木綿豆腐は出来たてのものを食べると風味が全く異なりますので、製造販売している豆腐店があればぜひ試してみましょう。料理のバリエーションがさらに広がります。