着物の紬を着る場面は、日常だけではありません。
人前に立つ仕事をするような、女優からの人気もあったことなどから、人前に出る際にも、相応しいものだといえます。意味もなく日常で着るよりは、記念日の方が、着る意味があるといえるでしょう。また前述した結城紬や大島紬を使った着物は高級品とされています。そういったことからも、祝いの席や誕生日会、パーティーなど、非日常な場面でも着ることができます。
紬の着物を着る意味とは
紬に関係する仕事をするためには、紬の意味を理解することが欠かせません。
結城紬と大島紬は紬という名称を用いていますが、細かい部分までみていくと製造方法が異なります。
そういった意味では、職業として着物や紬について考える際は、名称の意味をまずは正しく理解することが必要です。
着物の紬の魅力を一言でまとめると、品格です。肌ざわりとデザインは、他の衣服では見られない、独特の雰囲気があり、日本の良さをしっかりと感じることができます。
基本的に献上品とされる紬は、最高級のものでなければいけないわけですが、結城紬は、かつては献上品として、納められていた時期があり、その後庶民の手にも渡るようになったという経緯があります。
そういった歴史から考えても、結城紬は価値が高いといえるでしょう。 また紬を使っているような高級な着物は、何世代にも渡って着られる可能性があります。ファストファッションが人気を集めている昨今では、想像しにくい方もいらっしゃるかもしれませんが、かつては、上質な着物であれば、母から子へと、引き継がれ、その着付けの方法も親子で伝えられることも少なくはなかったのです。
大量生産ではないからこそ、着物に思い出が残り、それを着て出かけた際のエピソードを思い出すきっかけとなり、家族をつなぐ絆にもなります。大島紬を用いた高級な着物を母娘で受け継げば、思い出のトリガーとなる可能性が高まり、そこに意味が出てくるのです。
また紬を使った着物を着る意味は、日本の文化を大切にすることにも繋がるのかもしれません。
手仕事によって作られた素材は、月日を重ねればそれに応じた変化があります。紬の着物は世代を越えて着ることで、その時々に応じた魅力を感じることができるといえるでしょう。
もちろん、こういった紬を使って着物をつくるような職業は誰でも簡単に就けるものではありません。
しかし、着物と関連した仕事、写真スタジオや呉服屋などで務める際は、こういった紬について深く理解しておくことは決して無駄なことではありません。紬の着物の種類や、深い意味を理解することで、より良い仕事ができる可能性があるのです。