「画竜点睛(がりょうてんせい)」の意味と使い方|由来となった故事も紹介

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上司から、「君の作った資料は画竜点睛に欠いていて、すごく見にくいよ。」と言われたらどうしますか。

どのようにその資料を直したら上司の方が満足すると思いますか?そもそも、画竜点睛とはどのような意味なのでしょうか?

お子様がいるご家庭の方は知っているかもしれませんが、日曜日の朝に放送していた番組では「画竜点睛!」という掛け声と共に変身する竜人のキャラクターがいました。

そのキャラクターが、もともとは不完全な状態での変身を余儀なくされていましたが、そのキャラクターが心身ともに成長した時、完璧な状態の変身が出来るようになりました。

その時から、変身するたびに画竜点睛と叫び続けていました。実は、この一連の流れが画竜点睛の本質を表しています。

画竜点睛の意味


出典:ぱくたそ

画竜点睛とは、物事の最後に加える大切な仕上げのことを指します。例えば、仕事でプレゼン用の資料を作っていたとします。文章は全て完成しましたが、大切な事がイメージしにくくて、文だけでは上手く伝わりません。

そこで、資料に図や表などを加えて資料を完成させました。これならば、相手の方にも伝えたいことがしっかりと伝わります。このように画竜点睛とは、なにかを完璧な状態にするために行う仕上げの事を指します。

画竜点睛の由来


出典:写真AC

そもそも、この言葉の由来はどこから来たのでしょうか?

実は画竜点睛は、「歴代名画記」という中国の物語から作られた言葉です。こういった、昔話に基づいて作られた言葉を故事成語と言います。故事とは昔の物語のことで、中国の話から作られた故事成語がとても多いです。

さて、この言葉の由来となったお話を紹介します。 昔々、中国がまだ梁という名前だった時代に張僧繇(チョウソウヨウ)が武帝の命令で、金陵にある安楽寺の壁に竜を4匹描いていました。

ですが、彼は竜の目を描くことはありませんでした。彼曰く、竜に瞳を入れてしまうと絵画の竜が本物になってしまい、どこかへ飛んで行ってしまうらしいです。

実際に2匹の竜に瞳を入れると、驚くべきことに雷鳴を轟かせながら、2匹の竜は空へと昇ってしまいました。

瞳を入れてない2匹の竜は、まだ壁に絵として残っています。瞳を入れるという最後の仕上だけで、それ程の差がついたのです。

画竜点睛は、この話に基づいて作られた故事成語です。

画竜点睛の例文


出典:ぱくたそ

画竜点睛はどういった時に使えるのでしょうか?

一般的には、「画竜点睛に欠く」という表現がよく使われます。

例えば、最初に出した「画竜点睛に欠けた見にくい資料」とは、肝心なことが抜けているかどこかずれていて、相手に主旨がうまく伝わらない資料の事を指しています。

他にも、学校でのテストで完璧に答えたのに名前を書き忘れてしまった時なども「画竜点睛に欠けた答案用紙」と使うことができます。 逆に、一般的には「画竜点睛がしっかりとした資料」「上手く画竜点睛が出来ている作業」というような使い方はしませんが、意味としては誤りではありません。

画竜点睛の類義語・対義語

類義語には、「推敲」という言葉があります。この言葉も中国の物語が元となっていて、文章をより良い表現に修正を重ねて完成させるという意味になっています。例えば、プレゼンに用いるパワーポイントの文章をより分かりやすい言葉へと直していく作業のことを指します。

物事を完璧に仕上げるという点ではどちらも似ている言葉ですが、推敲は作業の途中に使う言葉で、画竜点睛は作業のラストに行う仕上げという違いがあります。 対義語には、「仏作って魂入れず」という言葉があります。

画竜点睛とは逆に、何かをやる際に物事の最も大切な部分が抜けてしまい、不完全なものとなってしまうという意味の言葉です。例えば、手紙を送る際に切手を貼り忘れてしまい、送れなくなってしまう時のような事を指します。もう一つ、「蛇足」という言葉もあります。

こちらも中国の故事が元となっており、完成したものに余計な物を足してしまい、不完全な物にしてしまうという意味です。例えば、上司の前で丁寧な言葉遣いを意識するあまり敬語を余分に重ねてしまい、日本語としておかしくなってしまう時に使います。

どの四字熟語にも、由来があります。

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