伝統工芸「博多織」|歌舞伎役者も惚れたその魅力とは

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博多織とは

出典:写真AC

博多織は日本三大織物の1つに数えられる経済産業大臣指定の伝統工芸品の1つです。

福岡県福岡市博多地区の特産品であることから「博多織」の名で親しまれています。今から約780年の鎌倉時代に約6年間、宋(現在の中国)に滞在し、織物の製法を習得した博多商人の満田弥三右衛門によって伝えられ、250年後に子孫の彦三郎が再び明(現在の中国)へ渡り織物の技法を学び研究したことで生まれたと伝えられます。

江戸時代には藩の特産品として、幕府に謙譲されるほどに発展し、織屋株を持つ12軒だけで生産される藩の保護産業として技術が磨かれていきます。

明治維新以降の文明開化の時代にはジャカード機やドビー機を導入し、本格的な機械織生産を開始しながら、歌舞伎の舞台で使用する帯などを生産し、役者の人気にあやかったヒット商品を狙うなど、積極的な商品開発行います。

近年は1971年、2003年と織職人が親子二代に渡り人間国宝に認定され、博多祇園山笠の人形が西陣織から博多織に改められるなど、文化的価値が注目されている織物だと言えます。

博多織の特徴


出典:写真AC

織物の産地として伝統工芸品に指定されるほどの技術力を持つ博多織は、独特の模様の浮きでた厚地の織物が特徴だと言えるでしょう。

この特徴は博多織の独特な糸使いに起因しているもので、一般的な織物よりも多めに用いられる細い経糸と、太い緯糸(織物では縦を経、横を緯と表現します)で構成され、博多織の独特の柄は経糸を浮かせて織り出されます。

博多織の緻密さは織りの技術によるものが大きく、古くから伝わる「打ち返し、三つ打ち」という伝統技法で、横糸を力強く打ち込むことで博多織に張りや艶が現れるのだと考えられます。

歌舞伎役者に提供したように、厚地の博多織は地質が硬く「帯」に利用されることが多かったのですが、締める際に発する絹の摺れる音が心地良く、締め心地が良く、緩みにくい帯として知られています。

博多織の柄の意味

博多織に浮き出す独特の幾何学模様の柄には意味が隠されているのです。

博多織の帯の代表的な柄として中子持縞、両子持縞、独鈷、華皿があります。

中子持縞

締めた状態の帯の上下に同じデザインで描かれているのが中子持縞で、二親が子を包み込み守っている様子を表し親子縞とも呼ばれます。

両子持縞

帯の中央に描かれているのが両子持縞で、子が親を守っている様子を表し孝行縞とも呼ばれます。

独鈷

中子持縞と両子持縞に挟まれているもので、よく見ると密教で煩悩を打ち砕く道具とされる独鈷が描かれています。

華皿

仏具の1つで仏の供養で花を撒くときに使われる皿が描かれています。博多織の帯を使用する際には花皿が上になるように帯締めをするのがマナーですので気をつけましょうね。

博多織のネクタイ

緩み難い帯として評価が高い博多織ですが、実は緩んで欲しくないビジネスアイテムであるネクタイも製造しています。

ビジネスパーソンにとってネクタイは必要不可欠であり、個性を発揮できる重要なアイテムです。量販店で扱われる格安のネクタイも悪くはないのですが、やはり自分の胸元を飾るネクタイにはこだわりたいものです。

ネクタイの柄や幅などのデザインには流行がありますが、博多織を利用したものであれば自信を持って着用できると言えるでしょう。締め上げる際の「キュッ」という心地良い絹の摺れる音は既に紹介した帯と同様です。

博多織は経済産業大臣指定の伝統工芸品ですから、製品には日の丸をモチーフにした「伝統マーク」が使用されています。外国のお客様へのプレゼントなどにも自信を持って送ることが出来るのが、博多織のネクタイです。

力強い博多織の魅力

出典:写真AC

博多という響きに力強さを感じる人は少なくないのではないでしょうか。

博多織はイメージどおりの力強さと繊細さを併せ持った歴史ある伝統工芸品です。近年日本の魅力を再発見する試みが多く見受けられますが、本当の日本における魅力の再発見は、日本の伝統を身近に感じることから始まるのではないでしょうか。

受け継がれる伝統技術を守りながらも、ネクタイなどの外国の文化にも対応している博多織は、手軽に身に付けることが出来る、雅な日本の文化として世界に誇れるものであると言えるでしょう。

 

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