【南部鉄】世界でも注目を浴びる『南部鉄器』の魅力

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南部鉄器とは


出典:写真AC

南部鉄器とは、岩手県で作られている鉄器の種類であり、経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されている伝統工芸品です。

明治、大正時代に発展を遂げて、今でも岩手県の盛岡市や水沢市で産業として続いています。日本の伝統産業の評価が上がってきた近年、南部鉄器も海外からの注目を浴びるようになりました。

その結果、出荷が日本国内にとどまらず、ヨーロッパ、アジア、アメリカという全世界にむけて行なわれています。まさに世界規模でブームを起こしている日本の文化です。

南部鉄器の歴史 


出典:写真AC

南部鉄器は、諸説ありますが、江戸時代の初めに南部藩に京都の釜師を招いて茶釜を作り始めたことが起源だといわれています。

その後、18世紀頃に従来の茶釜よりも小ぶりなものを作り始めて、市民に普及したことによって発展したといわれています。

その後、明治時代に一度衰退をしましたが、展覧会での高評価や東北線の開通も相まって、明治時代中期以降に一気に流通が広まりました。

現在では、鉄器以外の調理器具や日用品が普及して最盛期ほどの勢いはありませんが、芸術的な伝統工業としての再評価や、調理器具としての実用性の高さが影響し日本国内外で人気が高まってきています。

南部鉄器の特徴


出典:写真AC

南部鉄器の特徴は、表面の芸術的な模様にあります。

この模様は、アラレ文様や動物文様、植物文様といった様々な種類がありますが、全て一つ一つ模様に合わせた鋳型を作り、手作りで作成しています。手作りでしか表現できないような繊細な模様がとても美しく、実用品としてだけでなく、芸術品として評価が高いことが魅力となります。

また型取りに使われる鋳型が土や粘土、砂を用いて作られているため、南部鉄器の表面には目に見えない細かなくぼみがあります。このくぼみは調理器具として活用した際に、焦げ付きにくく調理がしやすい特徴もあります。

南部鉄器の急須


出典:写真AC

南部鉄器の急須の魅力は、お茶を入れるときに分泌される鉄分にあります。南部鉄器は主成分が鉄でできおり、そのため、急須の中にお湯を入れると表面から鉄が分泌されて、お湯の中に溶け込みます。

この鉄分が健康によいとして、鉄器が非常に人気となっています。若い女性の人の悩みに貧血があげられます。この貧血の原因の多くは、鉄分不足だといわれています。

現代の食生活では、魚や野菜の摂取が減っているために鉄分不足に陥りがちです。そのため、南部鉄器の急須はお茶を淹れるだけで鉄分が取れることで、非常に人気が出ている訳です。

さらに、南部鉄器の急須は、丁寧に扱えば非常に長持ちをします。使い込めば込むほど味わいもでてくるため、物持ちがよい人にも人気があります。

南部鉄器の作り方


出典:写真AC

 南部鉄器は、高温に溶かした鉄を鋳型に入れ、その後冷やして完成となります。

言葉で説明すると一瞬ですが、工程にするとなんと60種類以上にも分かれる膨大な作業となります。作業の始まりは、鋳型のデザインをイメージし設計図に書き起こすところからスタートします。

その後、設計図通りに鋳型を作成し、鋳型が乾かないうちに文様を書いていきます。そして、完成した鋳型に鉄を流し込み固まったら、表面の土や砂などを落として完成となります。

この膨大な作業を一人前に行なうために約15年、名前を残せるレベルに到達するのにはなんと40年もの時間が掛かるそうです。

南部鉄器の手入れ

南部鉄器は、鉄出来ている器具なので水分に弱くさびやすいです。そのため、手入れをするときにも水分をいかに取り除くかが大切となります。

鉄器は水分に弱く、水分の残ったまま放置すると、金気(かなけ)が起こってしまい料理やお湯の味が落ちてしまいます。これを防ぐために使用後には、必ず水分をふき取るようにしてください。

また、使用しだして最初の1カ月は鉄器の中が、赤褐色の斑点ができることがあります。これは、さびとは異なりますので、気にしなくても大丈夫です。

無理に落とそうと内部をこすりすぎると逆効果になる可能性もあるので、気をつけてください。

南部鉄器をより知れる岩鋳鉄器館

南部鉄器の製造を始めて100年以上になる老舗として有名な岩鋳。

そんな、岩鋳の技術や製品を見学ができる岩鋳鉄器館があります。この岩鋳鉄器館では、様々な種類の南部鉄器の展示を見ることができるだけでなく、実際に職人が南部鉄器を作成している姿を見ることもできます。

南部鉄器をより身近に体験しながら魅力に触れることができるすてきな施設となっています。東北自動車道の盛岡南インターから近く、車でのアクセスがしやすくなっています。

ぜひ、南部鉄器の魅力に触れるためにも訪れてみてはいかがでしょうか。

使えば使うほど魅力の出る南部鉄器

南部鉄器は、日本の伝統工業の魅力である繊細で優雅な芸術が詰まった工業品となります。

芸術品としてだけでなく、調理器具やお茶を淹れるときなど日用品として、身近に触れることができることも南部鉄器の大きな魅力となります。

使えば使うほど、味が出てきてオリジナルな品になることも素敵な点です。ぜひ、あなたの身近な日用品として、南部鉄器を使ってみてはいかがでしょうか。

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