藍染めとは
藍染めとは、藍を原料にした染物です。日本では、手ぬぐい、のれん、風呂敷、浴衣などで使われており、日本古来の染色方法と思われていますが、古くから世界各地で行われている技法です。
日本では、藍は染物として使うだけではなく、薬草として食べたり、飲んだり、肌に付着させたりなど、様々な使い方もされています。
藍染めに使われる植物
出典:写真AC
藍染めの原料は植物です。一体どんな植物が原料になっているのでしょうか?
主に使われるのは、蓼藍、インド藍、ウォード、琉球藍、山藍といった藍となります。
藍染めの種類
藍染めもいくつかの種類に分けられます。ここでは代表する3つの染め方を紹介します。
生葉染めの仕組み
生葉染めは、藍の葉っぱに含まれている「前駆体」の色素を、布などの繊維に染み込ませる方法です。
繊維の中で「インディゴを生成させることで、色味が出てきます。生葉染めの特徴は下記のようになります。
【新鮮な植物じゃないと難しい】
藍の生葉染めは、藍を含む植物が新鮮じゃないと難しいため、収穫して間もない時じゃないと、綺麗に染まってくれません。
【染まらない素材にも注意】
素材によっては、うまく染まってくれない場合があります。絹や羊毛、ナイロンは比較的綺麗に染まってくれるのですが、木綿や麻は染まりにくいです。そのため、鮮やかに染めるためには、技術が必要なので、初心者には難しい一面があります。
【鮮やかな染め色が魅力的】
このように、少々ロジックが難しい染め方ではありますが、建て染めには無い、鮮やかな染め色が得られるのが魅力的です。そのため、その需要が衰えることはありません。
【生成方法】
生葉染めは、藍の葉をミキサーなどで細かく刻んで、「インディゴ」の前駆体である「インジカン」を摘出します。そして、葉に含まれる酵素が加水分解し、「インドキシル」を生成。それを素材に染み込ませるのです。
乾燥葉染めの仕組み
出典:写真AC
藍の葉っぱを乾燥させて、アルカリやハイドロで染める方法です。晴天の日を狙って、藍の葉を刈り取って、天日干しさせます。なるべく、風通しの良いところで、直射日光を当てるのがポイントです。
【一年中保管が聞くのが魅力】
カラカラに乾いた藍の葉は、乾燥剤とともにビニール袋などに保管すれば、一日中保存が効きます。そのまま、好きな時に染められるので、藍染め初心者にも人気のある方法です。
【抽出方法】
大まかな数値とともに、摘出方法を述べておきましょう。「藍葉500g」「水25リットル」「苛性ソーダ50g」「消石灰50g」「ハイドロ100g」これらの材料を、ポリ容器などに入れて、棒でかき回します。一日、一回ほどかき混ぜましょう。
それを、2週間ほど続けてください。やがて、還元膜が張ります。そうすると、藍が立ってくるので、染め液として使うことができます。
すくも染めの仕組み
タデアイの葉を、100日程かけて発酵させ、染め液の原料となる「すくも」をつくります。そのすくもを、灰汁、フスマ、石灰、酒などと一緒に発酵させます。そうして作った染め液の中で、何回も染め重ねる方法です。
【日本独特の方法】
すくも染めは、日本独特の方法です。四季がある、日本特有の環境を活かして、生み出されました。だから、一年中藍染めができます。
【手間暇がかかる】
ただ、この方法は手間暇がかかるので、初心者が簡単にチャレンジできる方法ではありません。そのため、藍染めベテランの中でも、特に職人技が求められます。
藍染めの藍は化学反応で生まれる
出典:写真AC
藍染めと言えば、鮮やかな青色が特徴です。でも、葉っぱ自体は緑色なのに、青色になるのは不思議です。
なんとその理由は、「化学反応」。青色の成分となる「インディゴ」は、緑色の葉っぱの状態では「インジカン」として存在しています。「インジカン」を加水分解すると、「インドキシル」と「グルコース」という成分ができるのですが、その「インドキシル」が酸化して、青色になる「インディゴ」が生み出されるのです。
このような化学反応は、藍の葉っぱを「刻んで天日干しさせる間」に起こっています。
【すくもが青黒いのはどうして?】
出来上がったばかりのすくもは、鮮やかな青色というよりかは、「青黒い」という表現がぴったりで、到底、鮮やかに染まるとは思えない色をしています。この色の理由は、青の成分が「インディゴ」のままで存在しているからです。
不溶性だから水に溶けない「インディゴ」は、不溶性の物質なので、そのまま水に溶けることはありません。だから、そのままだと、布も染まってくれないのです。
そんな「インディゴ」を、天然灰汁醗酵の力を経て、水溶性の「ロイコ体インディゴ」に変えると、水に溶けるようになります。そこに、布などを入れると、鮮やかな青に発色するのです。
藍染めの歴史
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藍染めは、日本で古くから使われている方法なので、日本が発祥の技法だと思われています。しかし、そうではありません。世界で、初めて藍染めが発見されたのは、インダス文明の遺跡からだと言われています。そんな藍染めが日本に伝わったのは、およそ1500年前だと言われています。大まかの経路としては、中国→朝鮮を経由したと言われています。
【平安時代までには既に伝わっていた】
1500年前と言うと、平安時代までには、既に伝わっていたことになります。実際に、藍染めは平安時代でも使われていて、特に、上流貴族が身につける高価な色彩として、重宝されていました。
【鎌倉時代には武士が身につける習慣も】
鎌倉時代になると、武士が身につける習慣が定番化していました。主に、鎧の下に着用していたようです。なぜ、鎧の下に着用していたか?というと、藍は、消炎や解毒、止血の作用があると信じられていたからです。
【江戸時代には庶民にも人気に】
限られた地位の人間だけが身につけることができた藍染めですが、江戸時代になると、庶民の間にも普及するようになりました。一般的なところでは、のれん、着物、作業着などなど。いたるところに、藍染めが見受けられるようになり、江戸の街を彩っていたのです。
藍染めの産地
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藍染めの産地は、世界に点在しています。代表的な産地で有名なのは、中国やインドシナ半島です。ちなみに、日本で藍染めが有名な産地には、徳島県や北海道が挙げられています。
藍染めの魅力
藍染めは、本当にいろんな色を生み出してくれるので、ワンパターンにならないのが魅力です。そのため、いろんな色の呼び方があります。
有名な所では、「藍白(あいじろ)」「水縹(みはなだ)」「瓶覗(かめのぞき)」「水浅葱(みずあさぎ)」「浅葱(あさぎ)」「薄縹(うすはなだ)」「薄藍(うすあい)」
「花浅葱(はなあさぎ)」「浅縹(あさはなだ)」「納戸(なんど)」「縹(はなだ)」「鐵(てつ)」「熨斗目(のしめ)」「藍(あい)」「藍錆(あいさび)」「紺藍(こんあい)」
「藍鐵(あいてつ)」「搗(かち)」「紫紺(しこん)」「留紺(とめこん)」「搗返(かちがえし)」「濃紺(のうこん)」などが挙げられます。かなり、いろんな呼び方があるのですね。
ミラクルが生み出す藍染め良さ
今回は、藍染めの魅力に迫ってみました。このようにして見てみると、藍染めの方法は一種類ではありませんし、「化学反応」を起こすという、ちょっと意外な一面も垣間見られましたね。
そんな概要が生み出す藍染めの色合いは、染めている本人でさえ、何色になるのか予想できないことがあるのか魅力のひとつ。
この予想外のミラクルが起こるからこそ、1度藍染めにハマると抜け出せなくなるのです。藍染めは、四季がある日本の景色のどこを切り取っても、マッチしてくれるので、日本人にこそ手に取ってもらいたいアイテムです。
今まで興味が薄かった方は、これを機に意識を向けてみてはいかがでしょうか?
藍染めで色んな作品を作ってみよう!
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