【ガラス細工の世界】都内で楽しめるガラス細工の加工体験を紹介

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ガラス細工は世界中さまざまな人に愛される、歴史の深い伝統工芸です。日本もガラスの技術が伝えられて以降、工芸品としての美しさと技術力を高め、独自の世界をますます発展させてきました。そんなガラス細工は既製品を買って楽しむだけでなく、全国の工房で制作することもできます。ここでは、ガラス細工の世界の魅力を紹介します。

ガラス細工とは


https://www.photo-ac.com/

ガラス細工とは、ガラスを使った工芸品のことを指します。日本だけでなく世界中で長い歴史を持つ伝統工芸品の1つです。

日本では弥生時代からガラスが使われていたのではないかと伝えられています。縄文時代の土を用いた工芸品から弥生時代になり、ガラスを用いた工芸品が発掘されるようになったからです。宗教的な行事に多く用いられるようになったガラスは、仏教やキリスト教とも深い関係があります。

外国からの宣教師が頻繁に訪れた戦国時代(室町時代)には、特に多くのガラス製品が残されています。その後、海外からガラス製品が流入したことによって一度は衰退した日本のガラスですが、現代ではその繊細なつくりと丈夫な構造から、世界中で人気を集めています。

ガラス細工の種類その1:吹きガラス

吹きガラスとは、その名のとおり、金属の筒の先端に熱したガラスの塊を付けて反対側から息を吹き込み、ガラスを膨らませて形を作る手法の1つです。吹きガラスの誕生は、なんと紀元前1世紀頃の古代ローマ時代と言われています。

その手法は当時から変わらないまま、現代に伝えられています。日本では風鈴を作る時に用いられる手法として知られています。息を吹き付ける力の加減によって、風鈴の音色やガラスの色合いが変わることから、繊細な作業が要求されます。

吹きガラスを用いた風鈴が日本に伝わったのは江戸時代でした。海外から伝わった吹きガラスの形は分厚く、透明ではなかったため、当時の職人たちは美しい音色を生む薄く透明なガラスの製造に情熱を込めていました。窯の進化や技術の進歩を経て、現在の薄く透明で凛とした音を奏でる風鈴が生まれたのです。

ガラス細工の種類その2:ステンドグラス


https://www.photo-ac.com/

ステンドグラスは、キリスト教の教会の装飾の為に生まれた、ガラス工芸の1つです。ステンドグラスは、見た目の通り、何枚ものガラスの破片を鉛で繋げることによって作られています。美しいガラスの色付けには、酸化金属と顔料が使用されています。

太陽の光を透けるように映し出す繊細なステンドグラスは、文字の読めない市民が神の存在を感じるツールの1つとして生まれ、今も多くの教会の窓辺を飾っています。世界最古のステンドグラスには、キリスト像が描かれています。

日本でステンドグラスの存在が知られるようになったのは明治時代でした。当時の日本の職人たちは海外からの目新しい技術をいち早く取り入れるために多くの西洋文化の技術を学んでおり、その一つとしてステンドグラスの製造も行われるようになったのです。現在ではホテルや駅、図書館など、街の至る所で美しいステンドグラスを見ることができます。

ガラス細工の種類その3:トンボ玉


https://www.photo-ac.com/

トンボ玉は、古代メソポタミアやエジプトで装飾品として作られていたものです。日本には奈良時代に製造方法が伝えられ、仏教の装飾品として用いられていました。トンボ玉の手法は、巻き付け、ロール、ホットキャスト、パート・ド・ヴェール、型押し、管引き、研磨など、多くの方法があります。

伝統的なものから近代的なものまで、それぞれの手法に歴史があります。ガラスを熱して棒に巻きつけ、トンボ玉の特徴ともいえる空洞を作る手法が、最もポピュラーなものとして広まっています。トンボ玉という名前は、丸いガラスに色付けした姿がトンボの美しい目に色に似ていることから付けられました。

ガラス細工の種類その4:切子


https://www.photo-ac.com/

切子とは日本独自のガラス工芸品の手法で、江戸時代末期に誕生しています。江戸時代に生まれた切子は、透明な鉛のガラスに金剛砂を用いて、ガラスの表面に彫刻で模様を施して作られていました。

その後、海外の手法が取り入れられた薩摩切子が誕生し、江戸切子にも薩摩切子の手法である色被せガラスを融合させるなどして、切子の技術は発展していきました。現在では、日本の伝統工芸品の一つとして認定されています。

ガラス細工が有名な観光地その1:小樽


出典:浅原硝子製造所

可愛らしいレトロな雰囲気漂うガラス細工で有名な北海道の小樽。明治から昭和にかけて漁業が盛んだった小樽では、ニシン漁に使うために多くのガラスが使われたことで、鑑賞用や工芸品としてガラス細工の技術が発展しました。

現在の小樽でも当時のニシン漁に使われていたガラス細工を見ることができます。また、ガラス細工を作ることができる体験ワークショップやガラス細工の歴史を収めた美術館などで、ガラスの魅力を楽しむこともできます。

ガラス細工が有名な観光地その2:琉球ガラス


https://www.photo-ac.com/

沖縄には、明治時代にガラスの技術が伝えられたと考えられています。琉球ガラスの特徴は、何と言ってもそのカラフルな色合いです。廃棄されたビンなどを再利用して作られた琉球ガラスは、戦後アメリカ軍基地から出るガラスを再利用するようになったことで、より大きく発展しました。

戦前から廃ビンを再利用していた琉球ガラスは、アメリカ製のビンのカラフルな色合いによって美しさを増し、お土産品として人気を集めました。琉球ガラスの製造は全て手作業で行われ、宙吹き・型吹きの手法を使って3〜4人の共同作業で作られます。

都内でガラス細工体験ができるスポット

都内にもガラス細工の制作体験ができるスポットがあります。

「まんげ鏡や 神田教室」では、ガラス細工を使った万華鏡を自分で作ることができます。子どもや高齢者でも簡単に作れることから人気を集めています。作ったその日に持ち帰ることができるように材料も全て準備されています。オーダーメイドのガラス細工の制作も頼むことができるので、カップルにもぴったりのお店です。

製作を行う店内は、レトロなインテリアにこじんまりとした空間が広がっています。池袋駅にあるガラス工房グラス・ズーでは、ステンドグラスベネチアングラスのペンダントなどのガラス細工を作ることができます。ガラスの製造だけではなく、絵付や色つけなども行えるので、自分だけのデザインのガラス細工を作ることができます。

新宿にある「PROPS Art School」では、ガラス細工をはじめ、陶芸やフラワーアレンジメントも体験することができます。ガラス細工や陶器の器に花を飾りたいという人にも人気のお店です。他の体験教室よりも体験できるメニューも多く、マグカップやアクセサリー製作をすることもできるので、何度行っても楽しめます。

「江戸とんぼ玉みはる」では、伝統的な江戸とんぼ玉を作ることができます。日本の伝統の技術を体験したいという人や親子連れに人気のお店です。

ガラス細工の魅力

世界中で長い歴史を持つガラス細工は、透けるような色合いと光を取り込む透明感で、多くの人の心を捉えます。夏の風鈴の涼しい音色、教会のステンドグラスから入り込む日差し、日本酒をさらに引き立てる繊細な切子グラスなどガラスが持つ独特なノスタルジックな世界観は、知れば知るほど奥が深い世界でもあります。

自分でガラス細工を作れば、温度、風、力加減で1つ1つの色合いや風合いが変わるため、この世界に1つだけの作品になります。自分だけのガラス細工の作品を生活の中に取り入れれば、眺めるたびにパワーをもらえるかもしれません。ぜひガラスの制作体験に足を運んでみてくださいね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加