伊賀組紐とは
伊賀組紐とは古くから日本文化根付く伝統工芸であり、細い絹糸や綿の糸を編み上げた紐のことを組紐といいます。最近では大ヒットした映画「君の名は。」で使われたこともあり、組紐自体は耳にしたことはあるのではないでしょうか。
起源はとても古く、奈良時代まで遡ると言われています。仏教伝来とともに伝わってきて、経典や仏具、袈裟などに用いられており、楽器にも飾り付けられました。
都が平安京に移ると王朝貴族には欠かせない束帯となりました。武士が活躍した時代には、武士が使用する武具にも用いられるようになりました。
明治時代の廃刀令により、武具が禁止され組紐も需要がなくなりましたが、女性の帯締めとして使われるようになり、今では和装に欠かすことのできないものとなっています。
伊賀組紐は主に絹糸を使い、高台という伝統的な組台で作られます。高級手組紐と呼ばれ、その繊細な美しさから現在伊賀組紐は、和服の帯締め以外にも、ストラップなどにも用いられています。
伊賀組紐の特徴
出典:写真AC
和装にはなくてはならない伊賀組紐ですが、その特徴は組紐の組み方です。緻密に組まれており、美しく輝く絹糸は、組み方によって違う輝きを放ちます。主に使うのは絹糸で、組糸に金銀糸を使います。
伊賀組紐で作られた帯締めは組み方が35種類あり、それぞれ組み方によって全く違った印象を与えます。色とりどりの鮮やかで美しい絹糸が一本一本違った輝きを放ち、交じり合います。
伊賀組紐の作り方
出典:写真AC
伊賀組紐を作るのに最初に行うのが糸割りという作業です。
主として生糸に絹糸を使い、組糸には金銀糸などを使用します。作業に必要となる絹糸を必要な分準備をします。糸を秤にかけて帯締め一本分をベースとし、作ろうとしている紐の糸を量りにのせます。そして、作ろうとする紐の重さを本数分の糸を分けていく作業です。
量を決めると、続いては染色をしていきます。作ろうとしている伊賀組紐のデザインを見ながら、色ムラがないように染めていきます。綺麗な色に染めるには各染料を調合して色見本と同じように染めていきます。糸を染色液に浸すという作業をひたすら繰り返すことで、色の深みや濃淡を再現していきます。
熟練した腕がないとできない作業です。長年のキャリアやテクニックが必要です。染色ができたら糸繰りです。染めた糸を座繰りという道具で小枠に巻きます。巻き取った糸は、次に経尺枠に巻き取り、使う糸の本数を整えて必要な長さと量を決めます。これが経尺という作業です。
次に撚りかけ車で撚(よ)りかけという作業をします。ここで適切に撚りをかけていきます。そして、組みあげです。丸台、角台、綾竹台、高台という組台を使って組みあげます。
仕上げに両方の先の糸を手作業で一本ずつほぐし房目を糸で結びます。房は蒸気で整え、最後にできた組紐を転がして組目を揃えます。長い工程を経て出来上がった伊賀組紐は帯締めなどいろんなものに使われます。
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伊賀組紐で作られた帯締めの紹介
出典:組匠の里
伊賀組紐は高台という組台で組みあげられる高級品。
代表的な伊賀組紐として、高麗組があります。丸台で作られる唐組と並ぶ高級品です。
続いて貝の口くらいに硬いという由来で名前がついた貝の口組、V字の矢羽根模様が特徴のさざ波組、片方の表面がしゃず目で幅が広い肉厚の組紐が大和組です。
組台によって様々な種類があります。どれも違った美しさを持っています。
用途の広がる伊賀組紐
出典:組匠の里
伊賀組紐といってもたくさんの種類があります。糸の種類や、染め方ひとつで違った美しさを放つ伊賀組紐ですが、最近では帯締めのほかにストラップやブレスレットも作られています。
和装でしか使わないイメージかもしれませんが意外に身近な存在なのです。美しい日本の伝統工芸品を伝えていくために、とてもいい方法ですね。
江戸組紐で「世界に一つの組紐ブレスレット」を作ってみてはいかがでしょうか。